――主人公の我妻アベルは、どういう男性だと思いますか?
アベルは寡黙な男性で言葉を発さない、人と話すことを良しとしないようなキャラクターで、その理由が実は後半で分かることになっています。車が趣味で、その運転がすさまじく上手い。それに加えて、腕っぷしも強い。その彼の日常にレオ(荒井敦史)という昔の友達が入ってくることで、かき乱されていくんです。
――多くを語らずともその人生には何かあったような、深みのあるキャラクターですよね。
アベルの性格を分析すると、昔は人懐っこかったのではと思います。人との接し方を知らないだけで、実は持っているものは熱くて。人をちゃかす言動をすることもあるので、口下手かもしれないですが、中身はちゃんと持っている人だと思います。僕自身とは全くタイプが違いますが、バックボーンには通じるものがあるかなとも思いました。
――それはどんなところですか?
僕はけんかが強いわけではないし、少年院にも入っていないですが、何か近いものを感じるんです。僕にもフランスの血が入っていて、車が好きという意味でも似ているし。自然体に近いので、演じやすかったです。僕は表情は豊かなので、抑えるくらいでした。でも、自分自身について新たな発見もあって楽しかったですね。
――物語のテーマについては、どう思いましたか?
女の子がほぼ出てこない、男同士の友情、絆の話です。一人一人にボーダーラインがあって、その人生を必死に生きるために超えざるを得ないボーダーラインがあれば、自分で努力して超えていくボーダーラインもある。一方、人に超えられてしまうボーダーラインもある。そういう普遍的なテーマがあるのかなと思っています。
――タバコなど最近はなかなか映画にも出てこないですが、いかがですか?
男臭いですよね! 臭い(笑)。まずタバコ自体、珍しいですよね。喫煙所も減っているし、全くない場所も増えている。でもこの作品では、ほぼ全員がタバコを吸っています(笑)。
――なくなりつつある世界観ですが、だからこそ映画になることに意味がありますね。
そうですね。でも、男として育っている以上、絶対に好きな世界観じゃないですか。車とアクション、アウトローな感じで、中二の時に絶対になりたいやつでしたよね。そういう意味では、男性は絶対に楽しめると思います。色合いも美しくて、スタッフさんが優秀なので、すごい映像を撮ったなという仕上がりになっています!
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