内山理名がNHK初主演を務めるドラマ「マチ工場のオンナ」が29日、2時間連続で第6回・最終回を放送する。町工場・ダリア精機の社長として苦しい立場に立たされるヒロイン・光(内山)と仲間たちに奇跡は起きるのか? 演出を担当する末永創さんに見どころを聞いた。
「マチ工場のオンナ」は、自身も町工場を経営する諏訪貴子さんの実体験がモデル。32歳の専業主婦だった光が、亡き父・泰造(舘ひろし)から町工場「ダリア精機」の社長職を引き継ぎ奮闘する姿を描く。
社長になって3年。第5回(22日放送)で光は銀行から4,000万円の融資を受け、思い切った設備投資に踏み切った。「女の子はいいよね、笑ってれば仕事もらえるんだから」なんてセクハラ発言も受注のためなら笑って受け流すしかなく、銀行員に力を借りただけであらぬウワサが立ち…3年ぶりにアメリカ勤務から帰国した夫・大(永井大)との間も、誤解とすれ違いばかり。
そんな中、29日放送の第6回でさらなる逆風が吹き荒れる。多額の借金を背負った直後にリーマンショックの激震が走り、ダリア精機と光はあっという間に窮地に立たされる。受注は大幅に減り、ついに仕事がゼロに。社員に給与を払うため、光は空き倉庫を貸し出すレンタル業を始めるが、焼け石に水。大との別居も続いており、光は踏んだり蹴ったりの状況に陥る。
第6回でどん底まで落ちるらしいダリア精機。本来ならそこで「続きは次週!」となるところだが、29日は第6回と最終回の2話連続放送。そこには番組のこんな意図が…。末永さんは話す。
「第6回は『さよならダリア精機』というタイトルのとおり、ダリア精機が危機的状況に追い込まれていく展開です。暗い展開に不安がよぎりますが、年末に暗いままでは終わらせない!というのが今回の2回連続放送の仕掛けでもあります。第6回放送後、5分後には最終回が始まるので、ぜひ2時間ドラマのように楽しんでいただきたいと思っています」(末永さん)
描くのは、実際にたくさんの悲劇を生んだリーマンショックだ。一世一代の借金をしたばかりの光とダリア精機が無事でいられるはずはない。それでも「暗いままでは終わらせない」――。続けて放送する最終回のタイトル「新しい明日」(実は松田聖子さんが歌う主題歌と同じタイトル)に、作品への思いがこめられた。
「第6回は、リーマンショックの影響でひたすら仕事がない、やることがない、という我慢の回」と末永さん。だが、そんな窮地にこそ笑顔を忘れないのがダリア精機だ。それを象徴するのが、第6回で描かれる河川敷でのシーン。仕事がなくなり肩を落とす社員たちを、光がサッカーに連れ出す。
11月中旬、揖斐川(いびがわ)の川原で行われたロケでは強風が吹き荒れ、出演者もスタッフも、あまりの寒さに涙や鼻水が止まらず凍えながらの厳しい撮影に。末永さんも「個人的に、ここ数年で最も過酷な現場でした」と証言する。心も体も凍えそうなシーンだが、光役の内山らは元気いっぱい走り回った。
「2か月近く撮影を共にしたチームが一丸となってたどり着いた大切なシーンでもあり、現場にはチームワークや絆が自然と生まれていたのを覚えています。そんな空気が画面にも匂いとしてにじみ出ていると思いますし、このシーンでクランクアップを迎えた出演者も多く、それぞれにとって印象に残るシーンになりました。とにかくいろいろとやってみて気を紛らわせようとする、困った時こそ笑おうとする、ダリア精機のポリシーが最も表れている回でもあります」と末永さんは胸を張る。
ちなみにこのサッカーシーン、内山の見事なフットワークにも注目!
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