――オーディションでの思い出がありましたらお聞かせください。
安済:今作はまずテープオーディションが行われ、その後にキャスト同士で実際に掛け合う演技を行うオーディションがありました。樹里は間島との掛け合いと、じいさんとの掛け合いがあり、私はそういった形式のオーディションをなかなか受けたことがなく新鮮でした。
山路:確かにあまりないよね。
安済:じいさん役には山路さんの他にもそうそうたる声優さんが集まられていたので、掛け合いができる喜びもありつつ、それ以上にとても緊張したのをよく覚えています(笑)。
――本作は“止界術”“霊回忍(タマワニ)”“神ノ離忍(カヌリニ)”など独自の用語も多く、独特の世界観を持った作品ですが、初めて作品に触れた際はどんな感想を持ちましたか?
瀬戸:「止まった世界をアニメでどうやって表現するんだろう?」というのが気になりましたね。雑踏や自然の音がない世界なので、収録でもガヤがないのがすごく印象的です。
山路:私はオーディションの台本で初めてこの作品を知ったのですが、その文章を読んだ時は「案外固い話なのかな?」と思いました。そうしたら、うちのマネジャーに「違いますよ! コメディーです」と言われて! 作品全体は決してコメディーではないとは思うのですが、じいさんや樹里の父の貴文について言ったのかな?(笑)
瀬戸:特に貴文はおちゃめなシーンもありますもんね。
安済:貴文はかなり癖の強い人物なのですが、貴文役の辻谷(耕史)さんの演技がまたすごくて!(笑)
瀬戸:あんなにかっこいい声なのに、“駄目な大人”のお芝居がうま過ぎるんです(笑)。
安済:収録で掛け合いをした時も、その“駄目な大人”演技に私までリアルにあきれてしまって。その感情が思わず樹里の声として出てしまい、ディレクターさんに「ちょっと冷たく当たり過ぎ。そこまで嫌わないで」と注意されました(笑)。
――最初に安済さんがおっしゃった「独特なアフレコ」とは、ガヤがない点以外にも?
安済:樹里のおいの真を演じる岩田(龍門)くんをはじめ、子役の子が多く参加していて、年齢層が幅広いアフレコ現場になっています。
山路:これがまた演技がうまいんだよね。
安済:私は普段はあまり小さい子と関わる機会がないので、「おいっ子に対しての愛情をどう表現したらいいだろう」と、アフレコが始まるまでずっと考えていたんです。ですが、岩田くんの第一声を聞いた時に「かわいい!」と自分の中に湧きあがるものがあって。音響監督さんには「その感情を乗せてくれればOK」と言われました。
瀬戸:岩田くんは会うたびに表情が柔らかくなってくれているのがすごくうれしいです。でも、大人と一緒に仕事をすることへのプロ意識も持っている子という印象です。
山路:自分のせりふを全部覚えてから現場に来ている感じがする。
瀬戸:男性陣が多い現場なので、先輩方によるいろいろな演技を見て、岩田くんが将来どんな役者さんになるのか今から楽しみです(笑)。
子役と言えば、私は回想シーンで幼かったころの間島を演じた際、子役の子と掛け合いがあったんです。本物の子どもとの掛け合いということで、私は“変に子どもの芝居をしている”と指摘されないように注意して臨んだのでとても緊張しました。
――お2人はアフレコで特に力を込めて演じられたシーンはどんな場面ですか?
瀬戸:樹里の役柄的に、知佳さんから常に力を感じます!
安済:常に全力ですね。だから、たまに頭に血が上ってクラっとします(笑)。
山路:俺はやっぱり瞬間移動のたびに力入れてるかな。
安済:樹里とじいさんは走っていたり忙しいシーンが多いですね。
瀬戸:あと、私は間島が泣き叫ぶ場面も印象に残っています。なぜそうなるかはネタバレになるので言えないですが、力を込めて演じました。
山路:あの場面は俺も原作で読むたびに泣く。間島の表情がすごく来るよね。
瀬戸:原作は、どの表情の描写も人間らしさがすごく伝わってくるんです。だから、お芝居のヒントにしようと原作をよく見返しています。もちろん、原作にないアニメならではのシーンもあるので、そこは原作ファンの方もまた新たに楽しんでいただければと思います。
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