実在した人物を演じる苦労について聞かれると、天海は「岡先生とみちさんが大きな口を開けて笑ってらっしゃる写真がありまして、それが私にはものすごく印象的だったんですね。私たちは皆さんに知っていただくため、観ていただくためにドラマを作っているんですが、実際は想像を絶する毎日だったと思うんですよ。
でも、そこを乗り越えてのあの笑顔。だからこそ、あの笑顔ができたのかもしれないですけど、あの笑顔でいられたというのはすごい方たちだと思うので、少しでもあそこに近づけたらと思って演じさせていただきました」と、一枚の写真から大きなインスピレーションを受けたことを明かした。
潔の研究成果は難解なので、国内ではなかなか理解されず、世界的な評価の高まりとともに日本でも認められるようになり、1960年に文化勲章を受章した。取材会の前日に撮影した受章シーンは、2人にとっても印象深いシーンとなった様子。
天海は「短い期間ですけど、蔵ちゃんとこのご夫婦を演じることができて、思いを込めて最後のシーンの笑顔を撮りました。きっとそこにいろんなものが溢れていて、いい顔をして笑えていると思うので、そこも見ていただけたらなと…」と、全てが集約されたラストシーンへの思いを語った。
佐々木は「文化勲章をいただいて、最後報われたなぁって…。いろんな苦難があったんですよ。昨日、笑顔でラストカットを撮れたというのは、僕らはかりそめの期間ですけど、そこはちょっと通じ合えたな、重なり合ったなと思います。僕らもそんな気持ちになれたのはうれしかったですね」と、撮影を通して岡夫妻の苦しみ、喜びを噛みしめていた。
普通の人には到底理解しがたい数奇な人生を歩んだ潔とみちだが、天海と佐々木は演じていて共感できる部分もあったという。天海は「共感かはわかりませんけど、1人の人を信じていくというのは、私たちはドラマや映画や舞台ですけど、その期間、共演者を信じていくのと一緒の事のような気がするんですよね。
もちろん、私たちはその期間だけですけど、そこに生まれる信頼関係とか、この人の芝居を信じていこうというところは似ているんじゃないかなと思います」と語った。
佐々木は「天才ですからね。『数学を研究して極めるのと、芝居を極めるのは似てますね』と言われたんですけど、全然似てませんし、比べられると恥ずかしいからやめてってくらい全然違うんです。
岡先生は何かを発見した時、『鋭い喜び』って仰っているんですね。鋭いって感覚はちょっとだったらわかる。台本を読んで『これやったらうまいこといくんちゃう?』『ちょっと笑えるんちゃう?』と思って、うまいことハマったなって時はちょっとした喜び。
鋭い喜びというのは、本当に突き詰めて突き詰めてずっとやった時にポンと出てくるんですけど、芝居を考えて考えて考えた時に、ファッて出た時の喜びはちょっと似通っているかなって思いました」と語った。
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