田中麗奈と台湾俳優ワン・ポーチエがダブル主演を務めた、日本×台湾のオリジナル合作映画「おもてなし」の初日舞台あいさつが3月3日に東京・有楽町スバル座で行われ、田中、余貴美子、藤井美菜、ジェイ・チャン監督が登壇した。
同作品は、父親が遺した琵琶湖畔にある老舗旅館「明月館」を一人で切り盛りしてきた母・美津子(余)を支えるため、実家に戻ってきた梨花(田中)が、旅館の新たな経営者となった台湾実業家のチャールズ(ヤン・リエ)の息子・ジャッキー(ワン)と“日本のおもてなしの心”を通して旅館の再生を目指す物語。
舞台あいさつで田中は「今日はひな祭りで、そして天気のいい日に、皆さまと一緒に『おもてなし』がスタートしたことをうれしく思います」とあいさつ。第42回香港国際映画祭オープニング作品として上映されることについては「大変嬉しく思います。香港の皆さまに『おもてなし』をどう感じとっていただけるか興味がありますし、私も香港の映画祭に参加できることを楽しみたいと思います」と笑顔を見せた。
この日が結婚記念日という余は、祝福の拍手を浴びると「スバル座でかけられた映画は必ずヒットすると言われているので、うれしいなぁと思います」と声を弾ませた。
見てほしいシーンを聞かれると、田中はチャールズのせりふ「やり残したことがない人生なんてつまらない」が印象深かったと明かし、「『あれがしたかった、これがしたかった』と言って、逝ってしまわれた方に対して、こちらはどういう気持ちで…って思うときもありますが、人生が楽しかったという夢を持って逝くことは、すてきなことなのかなと考えさせられました」とコメント。
余は「娘の梨花が酔っ払って帰ってきたときに、若者3人で手作りのギョーザを作って食べるところです。あそこのシーンは一気に3人の距離が縮まった感じがして大好きです」と言い、「ギョーザが本当においしそうだったんです!」と力を込め、笑いを誘った。
田中も、ドラマ撮影で3カ月間滞在した中国の女性スタッフ宅での“ギョーザエピソード”を披露。「そこで手作りのギョーザを食べました。それがすごくおいしくて(笑)。テーブルの上いっぱいにギョーザやカニなどの食事があって、本当におもてなしって感じがして、すごくうれしかったですね」と目を輝かせた。
また、これまで受けた印象深い“おもてなし”エピソードについて、藤井は2017年にニューヨークを訪れた際に一人で過ごした一日を挙げた。「そのときに知り合った韓国と中国の方が案内してくださったのですが、言葉はごっちゃになりつつも、心が一つになって楽しい一日が過ごせました。言葉に関係なく、心って通じるものなんだなと思いました」としみじみ。
さらに、ジェイ監督は「“おもてなし”をテーマに掲げようと思った理由」について、日本人スタッフとの話し合いの中でテーマが決まったことを告白。「日本のおもてなしと台湾のおもてなしは違います。そもそもおもてなしとは何か。場所によって違うのか。世界中に広まったらどうなるのか。などということを考えていったところから、この映画ができました」と打ち明け、「この映画を通して、おもてなしというのは“自分よりまず他者のことを考えること”というメッセージが世界中の人に広がってくれることを祈っております」と語った。
最後に、田中が「作品を見て、登場人物一人一人の人生のアルバムをめくっているようだなと感じました。再現シーンはないのに、その人の人生が残像のように見えて、こちらが考えさせられてしまって、ジェイ監督はすごいなと思いました。日本を客観的に、そしてアメリカ育ちのジェイ監督ならではの視点で、台湾の方をとらえていらっしゃったので、独特な映画になっていると思います」と語り、「出会うということの奇跡、日々のささいな幸せを抱きしめたくなるような、そんな作品だと思います。皆さん、勧めていただけたらうれしく思います」と観客に呼び掛けた。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)