「半分、青い。」脚本家・北川悦吏子の“朝ドラ革命”

2018/04/01 21:00 配信

ドラマ

【写真を見る】これまでにない新しい“朝ドラ”が誕生!?(C)NHK


ヒットのセオリーには従わない


「愛していると言ってくれ」(1995年TBS系)、「ロングバケーション」(1996年フジテレビ系)、「オレンジデイズ」(2004年TBS系)など、数々のヒット作を生み出してきた北川のクリエート術には、“正攻法でいかない”という共通点があった。「生まれたての鈴愛を見て、お母さんが『サルみたい』と言ったりするんです。朝ドラだけじゃなく、他のドラマでも母親はこんなヒドイことを言わないと思うんですけど、私にとっては全然ありで。そういった部分を狭められてしまうと狭く小さく面白くなくなってしまうから、そこは自分でも死守したいと思っているところで。NHKさんはそこをよく理解してくださっているので、こうして新しいものができているのかなという気がします。また、朝ドラにはモデルとする実在の人物がいるとか、戦争を挟むとか、ヒットの法則があると聞いたのですが、それを全部外して書いているというところもチャレンジングですし(笑)、自由に書かせてもらっています」(北川)

サブタイトルから漏れる、ヒロインの本能


朝ドラには1週ごとにサブタイトルが付いており、通常はその週のストーリーを象徴するものになっているが、今回のサブタイトルには北川マジックがかけられている。「第1週のサブタイは『生まれたい!』なんですけど、これは胎児の思ってることなんです。そして第2週は『聞きたい!』で、“○○したい!”という形で26週続けたいと思っていて。それはなぜかというと“生きる”という本能を描きたいと思ったからなんです。欲しいとか食べたいとか泣きたいとか叫びたいとか。これはヒロインの叫びで、今作のテーマにもなっているのかなと思います」(北川)

自身の実体験をアイデアに変換


これまでにも「愛していると言ってくれ」などでハンディキャップを持つ主人公を描いた北川だが、今作のベースは彼女自身の体験から生まれている。「3年ほど前に左耳を失聴して、すごくショックだったんですけど、雨の日に傘を差すと左側だけ雨が落ちないんです。このシチュエーションはドラマの中にも出てくるのですが、音がしないから、ちょっと面白いなと思って。これはドラマになるんじゃないかと思ったのが、この物語の発端です」(北川)