私見を述べる前に、取り急ぎ“なんちゃってハードボイルド”とか失礼なことをぬかしてしまい、申し訳ございません。
ハードボイルドかどうかはともかくとして、現代ならではの魅力十分な作品に仕上がっていた。
まず冒頭のシーン、事前情報が全くなかったとしても、視聴者にこの物語のメインキャラクターの職業、役割がよく分かるようになっており、作品の世界に入りやすい作りになっている。
それに、お嬢様大学生役の二階堂の美脚がいきなりチラリと拝むことができ、その後の展開に期待を膨らませるには十分な導入だ。
祖父の教えで「探偵モノ×セクシーに外れなし」という格言もあることだし、早くも名作の香りがしていると、もう1人この作品を彩る美女のおでまし。
こちらは目のどアップで登場するも、誰なのかすぐに分かった。美女オーラを漂わせ、血まみれのワンピースをこんなにセクシーに着こなすのは業界広しといえど彼女くらいのものだろう。
そう、辻山の元妻・幸子役の長谷川京子だ。そりゃ、こんなに美しい風貌であればどんな組織の悪党でもメロメロになってしまうだろう。
あるシーンで美背中や美脚があらわになるが、「妖艶」ってまさにこのことを指す言葉なんだなと、拝んでいてしみじみ…。さておき、あらためて主人公2人のキャラだが、ドジの連続で崖っぷちのしがない探偵・辻山。斎藤がここまで女性に振り回されるキャラクターを演じるのは新鮮な気がする。
時折コメディータッチに、そしてまた時折シリアスに、決してスーパーヒーローではないものの、魅力あふれる“色男”だ。
一方の直美は、好奇心旺盛なおてんばお嬢様という、ドラマの主人公にはもってこいのキャラクター。でも、ただのお嬢様ではなく、時に大事なことをポロっと計算なく言ったり、ピンチに突然機転を利かせて危機回避したりと、なかなかやりおる。
特に幸子を追う悪党どもから追い込まれ、絶体絶命になったときにしたとっさの行動には脱帽だ。
二階堂といえば、どこかミステリアスな雰囲気を持ち、いわゆる浮世離れした役がよく似合う印象。(※個人差はあります)
テレビドラマでも何度も主演をしているのだが、悪い意味ではなくなぜかドラマの世界にいることすら違和感を覚えてしまうくらい、つかみどころがない。
しかし、それがいい方に作用しているのか、昭和の名作を体現するには持って来いだ。
斎藤の方もイケメンの上にスタイルが良過ぎて、ドジの連続で崖っぷちな探偵のイメージはしにくいかと思いきや、服装と演技によって生み出された気だるい雰囲気が妙にハマっている。
その他では、“静”の演技ながらオーラは決して静ではなさそうな(?)家政婦役の夏木マリや、暴力団組織との関わりもうわさされる「国崎興産」会長・国崎成道役の國村隼。
國村は2017年秋に同じテレビ朝日系で放送された「BORDER 贖罪」では、白のジャケットでビシッと決めた“正義の象徴”の役柄だったが、今回は正反対のゴッドファーザーなそれ。
“どちら側”にせよ、ここまで圧倒的な存在感を身にまとえるのは長らく一線級で活躍してきた彼だからこそ。正義にしろ悪にしろ、好敵手がいないと物語は盛り上がらないが、「探偵物語」の世界を色濃くしているのは彼の力も大きい。
また、稲葉友演じる三好のくずっぷりもいい。放っておけばイケメンでバイクに乗って悪を成敗しそうなヒーロータイプなのだが、狂気のスパイスを少し振りかけると、一気に反対方向に振り切れる魅力がある。
あとは、テレ朝だとどうしても“お調子者の刑事”のイメージがついてしまう吹越満の硬派な刑事ぶりに、当コラムで度々使う言葉だが、“困った時の山下容莉枝、ホントは絶対いい人でしょ感がすごい正名僕蔵&鈴木貴之コンビ。
加えてキャスト以外では、何より作品を彩る「音楽」が素晴らしい。映画版が公開された年に生まれた筆者にとっては、比較などはできないのだが、劇中で流れる音楽も、主題歌の安藤裕子「探偵物語」も、全くもって“誤差なし”だ。
冒頭の話に戻るが、「最近なんでもコンプライアンスがうるさくてさー」と、コンプライアンスを言い訳にして面白いものを作れないのを時代のせいにしがちだが、「時代が悪かった…」ではなく、この時代だからこそできることを意識してみてはいかがだろう?
それこそ斎藤・二階堂の2人は現代にしか存在しないし、この2人だからこそ紡げる物語がここにある。
まあ、思いっきり個人的なことを言えば、あんな美女2人の美脚を間近で拝めるなんて、うらやましい…。
おっと、この発言はコンプライアンスに引っ掛かるな。
文=人見知りシャイボーイ
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