「NHKっぽさの中にNHKらしくないものを忍ばせるのが僕の理想」【「オドモTV」プロデューサー / 河瀬大作】

2018/05/13 06:00 配信

芸能一般

“分かりやすさ”の枠の中で作っているだけでは、面白い番組は生まれない


「『NHKっぽいよね』も『NHKなのに、ここまでやるの!』も、どちらも褒め言葉なんです」という河瀬大作氏


──河瀬さんの中で“NHKらしくないものをやってみたい”という思いもあるんでしょうか?

「いや、NHKっぽい番組なんだけど、その中にNHKらしくないものを忍ばせる、というのが僕の理想です。“NHKらしさ”はすごく大事なことですよ。最近は特にそう思いますね。『NHKなのに、ここまでやっちゃうんだ』という驚きと、『でも、やっぱりNHKっぽいよね』という納得感を同時にもたらすような番組ができたらいいなと思います」

──では、河瀬さんが番組をプロデュースされる上で最も大切にされていることは?

「僕は、その時代に必要とされるものは何なんだろう、ということをずっと考えてるんですよね。手掛けてきた番組のジャンルはバラバラですけど(笑)、そこは共通している。その上で、どうやったらもっとエッジが立った番組が作れるのか、ギリギリってどこだろうということをいつも探しているんです。今のテレビって、『分からないものはダメ』『みんなが分かりやすいものを』というのが絶対的な正義になってますよね。決してそれは間違いじゃないんだけど、その枠の中で番組を作っているだけでは、やはり面白いものは生まれない。ですから、そうした枠からちょっと踏み外したようなことが、どれだけできるだろうかということは常に考えていて。結局、さっきの話に戻っちゃうけど、はみ出さないと面白くないんですよ(笑)。

テレビというのは、“今”を映し出す文化。テレビ番組が、映画のように後年まで語り継がれるマスターピースになることはなかなかないですよね。それだけに、批評性も含めて、常に時代とつながっていないといけないと思うんです。僕としては、人々に、『面白かった』『楽しかった』以上の何かを持って帰ってもらえるようなことが、テレビでできたらいいなと…いや、それができるなら別にテレビじゃなくてもいいかなとも思うんですけど、僕の中ではまだまだ“テレビ=面白いもの”というイメージは強固としてあるので、これからもできる限り、テレビでやりたいことをやっていきたいですね」

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