BS12 トゥエルビで毎週金曜日深夜に放送されている「ザ・カセットテープ・ミュージック」(夜2:00-2:30)。マキタスポーツと音楽評論家・スージー鈴木が1980年代の音楽シーンを振り返り、テーマに沿った名曲を紹介する同番組では、5月11日にユニコーンを特集。マキタ選りすぐりのA面B面計6曲が紹介された。
マキタがA面1曲目に選んだのは1989年に発売された3rdアルバム『服部』収録の「大迷惑」。この曲、アルバムをきっかけにユニコーンにハマっていったというマキタは、サラリーマンの悲哀を綴るユーモアにあふれた詞、オーケストラと共演するPVなど、初めて観た時の衝撃を語り、その後も「抱けないあの娘」「雪が降る町」における奥田民生ならではの巧みな言葉選びについて力説。スージーは、映画の題材にもなった“奥田民生になりたいボーイ”を生んだ当時の奥田を“音楽少年のトップ・オブ・トップ”と称した。
A面3曲も十分に個性的だが、B面は「さらにクセのある」3曲をセレクト。「子どもの天使のような清らかな声」(マキタ)と歌詞とのギャップに“カセットガール”河村唯を困惑させた「ジゴロ」や、マキタの作詞作曲ものまねはこの系譜にある、とスージーが指摘したパロディーソング「PTA~光のネットワーク~」、ギタリスト・手島いさむが手掛けた名曲「自転車泥棒」を紹介。歌唱、演奏、アレンジ、センスなど、笑いを交えながらも各メンバーの長所を細かく拾い上げていく愛のある分析は、見応え十分だ。
収録後のインタビューでは、ユニコーンにとっても2人にとってもターニングポイントといえるアルバム『服部』にまつわるエピソードを披露。
「当時僕はザ・ブルーハーツが好きで、そのカリスマ性にやられちゃっていたので、正直ユニコーンを軽く見ていたところがありましたね。それが『服部』を聴いてみたら、思いのほか自分の笑いのツボとかを刺激されて…すごいインパクトありましたね」(マキタ)
「89年の夏、平成元年の夏に、ユニコーンの『服部』が出て、岡村靖幸の『靖幸』が出て、フリッパーズギターの『three cheers for our side~海へ行くつもりじゃなかった』が出て。それが私にとっての“サマー・オブ・ラブ”…あの時に、新しい音楽が始まるなっていう感じがした。それほど『服部』の印象は強かったんですよね」(スージー)
思い入れもたっぷりの『服部』をはじめ、ユニコーンの“ツボ”を徹底的に語り尽くしたこの回は、5月25日(金)深夜2:00より再放送される。また、6月1日(金)に発売が決定した初の番組本「カセットテープ少年時代 80年代歌謡曲解放区」では、清水ミチコをゲストに迎えた濃厚なトークも収められている。
取材・文=草野美穂子
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