――榎田(渋川)や清春(森岡龍)たちが、お昼に何を食べるか決める時、最初は「今日は、中華の口」って言っていたのに、気が付いたら全然違うメニューを選んでいるような、何げない会話のテンポがとても良かったですね。
自分たちも普通にやっていることだと思うんですよ。「マジで、今は中華の口だから」なんて言いながら、ハンバーグを選んじゃうとか(笑)。
そういう、何も考えずに通り過ぎてしまいそうな会話の流れを見逃さないところが飯塚さんの作品っぽいですし、それを分かった上で演じられる幸せを感じていました。
――千秋を演じる上で心掛けた点は?
例えば、人間は誰もが何かしらモヤモヤみたいなものを抱えていて、作品の中のキャラクターたちもみんな壁にぶつかっています。
千秋にも同じことが言えるので、こういう女性だという決め付けというか、変に考えて作ったりするのはやめようと思いました。
榎田役の渋川(清彦)さんをはじめ、周りに大先輩方がいらっしゃったので、ある意味私は自由にできるかなと。皆さん、休みなく何かを発信してくるので(笑)、それに対してリアルに反応していた感じ。
ハッと思ったら、そのままハッとした顔になっているし、ホントにその場で生きている感覚で演じられたんじゃないかなと思います。
――群馬で何日間か泊まり込みの撮影をしたという環境も大きかったですか?
ものすごく大きかったです。毎日のように榎田貿易堂の3人(渋川・森岡・伊藤)で飲んでいて、たまに丈役の滝藤(賢一)さんが加わる。その感じが、作品の関係性のまんま。
私たちと滝藤さんの距離感が、貿易堂のメンバーと丈の関わり方と同じなんです。
劇中で千秋が榎田と清春に「飲みに行きませんか」って誘ったのに断られる場面があるんですけど、実際に撮影が終わった後、私が渋川さんと森岡さんに声を掛けても何となくつれない態度をされたり、違う日には2人が先に飲みに行っていて、私が置いていかれたりする感じとか、もうまさに千秋そのものなんですよ。
だから、皆さんと一緒に少しずつ役を作り上げていく、その1分1秒がすごく楽しかったです。もう一度、あの日々に戻りたい(笑)。
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