――ユースケさんや木村多江さんの反応は?
両親と向き合い、真実を聞くあのシーンに関しては、ドライのときから僕の中では挑戦でした。ユースケさんと多江さんと向き合ったときに、どんなお芝居が返ってくるのか。楽しみでもあり、それに対してきちんと返せるのかどうか不安もありました。
実は本番の前日に多江さんから「第9話までは秀明(玉木宏)さんをロックオンしていたけど、第10話は秀明さんのことを忘れて慎吾にロックオンする」って言われたんです。あの綾子(木村多江)さんにロックオンされるって相当なことだぞとうれしく思いましたし、すごく気合が入りました。完全にこっちに向けて球を投げてくれるということですから、それに負けないよう慎吾の全てを出し切りたいなと。集中することが求められましたし、とてもエネルギーがいる芝居でした。
――母親の綾子さんから慎吾の出生の真実を告げられたときはどう思いましたか?
おばあちゃんから言われていたという設定は初めからあったので、知っていたこととはいえ、お母さんから直接言われると慎吾にとってはダメージが大きいですよね。何とか細く、細くつないできたものが壊れてしまいましたから。
ドラマだから、壊してくれた方が個人的には楽しいですけど(笑)、慎吾としては最後までつないでいてほしかったかなと。おばあちゃんから聞いた話だけだったら本当は違うのかもしれないと思えるけど、母親から言われたらそれは真実ですから。あれはつらかったですね。
――慎吾が父親の太郎と暮らすことを決めた理由については?
綾子さんのお母さんのお葬式の時に、太郎さんが「一人息子の茄子田慎吾です」って親族に紹介してくれたことで、慎吾としてはかなり救われたと思うんです。綾子さんから真実を告げられて、自分はどうなるんだろう、帰る家はあるのかなって思ったときに、太郎さんがはっきりと自分の息子だと言ってくれた。あのシーンで、背中に手を置いて、ポンと叩いてくれたことがとてもうれしくて。
自分の中で崩れかけていたものが、再生するのか新しいものが生まれるのかは分からないですけど、何かが芽生え始めたのかなと。自分とは血がつながっていないと知っていて接してくれている。そんな太郎さんの思いが慎吾にとっては救いになっているような気がしました。そこから、慎吾は太郎さんと住む家が自分の帰る家になるのかなって思えたような気がします。
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