“リアルが生みだす説得力”が魅力の細田守監督 最新作は「家族の“あるある”」だらけ!

2018/07/14 08:30 配信

映画 インタビュー

細田守監督の最新作「未来のミライ」で主人公家族の声を担当した上白石萌歌、黒木華、星野源、麻生久美子撮影=横山マサト

家族が本当の家族になるために努力する話


4歳のくんちゃんの目線を通して描かれる物語ながら、過去から未来につながる家族と生命の循環という大きなテーマへと広がっていく本作。アニメという枠を飛び越え、世代を問わず楽しめる作品となっている。

上白石:私はメキシコに住んでいたことがあるんですが、メキシコには“死者の日”という祭典があるぐらいご先祖さまを大事にするんですよね。その影響もあって、私も鹿児島の実家に帰ったら必ず手を合わせに行くし、そういう縦のつながりというか、何かを受け継いでいくということはとても大事なことだなと思います。

黒木:私は今、28歳になりますが、くんちゃんに感情移入できたし、おとうさん、おかあさんの会話に思いをはせるところもありました。まだ想像でしかないですが、夫婦というものは他人同士が一緒になることの難しさもあるのかなと。そういう人間と人間の関係性がすごく伝わってきましたし、親の成長が見えるのもいいなと思いました。

星野:まさに、くんちゃんだけでなく、おとうさんが悩みながら一歩ずつ父親になっていくのも見どころだと思います。細田監督はこれまでも家族を描かれていますが、「バケモノの子」が家族ではない者が家族になろうとする話だとすると、今回は血のつながっている家族が本当の家族になるために努力する話。普遍的でありながら、あまり見たことがないバランスの作品になっていて、そういう細田監督の気概みたいなものはあらためて好きだなと思いました。

麻生:私が印象に残っているのは、「私は働いているけど、子育てにはベストを尽くそうと思っている」というおかあさんに対し、ばあばが「子育てには願いが大事だよ」というシーン。私自身、そのセリフに救われたところがあったので、世の中の働いているお母さんにも、この映画を見ていただけるとうれしいです。