名手・岡田惠和が描く、愛すべき“普通の人々”の日常 <脚本家で見る夏ドラマ(3)>

2018/07/15 05:00 配信

ドラマ

岡田惠和が脚本を手掛け、松本穂香松坂桃李が出演する話題のドラマ「この世界の片隅に」(毎週日曜夜9:00-9:54※初回は夜9:00-10:19、TBS系)が、いよいよ本日7月15日(日)よりスタートする。

戦後を生きる夫婦役に挑戦する松坂桃李と松本穂香。2人手を取り合いながら、激動の時代を生き抜いていく(c)TBS


こうの史代の人気同名コミックを連続ドラマ化。太平洋戦争中、軍港の街として栄えた広島・呉の家に嫁いだ、ごく普通の女性・すず(松本)が、戦時下で物資が乏しくなる中、前向きに日々の暮らしを重ねていく姿を中心に、すずの夫・周作(松坂)ら、さまざまな人間模様が紡がれていく。

少々のんびり屋だが、常に前向きに生きるヒロイン・すずを演じるのは、オーディションで約3000人の中から選ばれた松本穂香(c)TBS


松坂桃李演じる周作は、海軍で軍法会議の議事を務める青年。一見神経質に見えるが、秘めた情熱と優しい心の持ち主(c)TBS


脚本を手掛ける岡田惠和は、本作主演の松本も出演した連続テレビ小説「ひよっこ」(2017年NHK総合ほか)や、「最後から二番目の恋」(2012年)「続・最後から二番目の恋」(2014年ともにフジテレビ系)など、人間の機微を優しく繊細に描く名手。本作でも、ヒロイン・すずをはじめとする登場人物一人一人の人物像、すずと北條家の人々との関わりを丁寧に描写してくれるはずだ。

「この作品の制作が決まり、誰に書いていただきたいかと考えたときに、ちょうど岡田惠和さんが脚本を手掛けられた『ひよっこ』が放送されていて。“普通”の女の子が大変な時代を“普通”に生きていく姿を描いた『ひよっこ』に、『この世界の片隅に』と近いものを感じたんです」と、岡田惠和を起用した経緯を語るのは、佐野亜裕美プロデューサー。

さらに、佐野Pに岡田脚本の特長を尋ねると、こんな答えが返ってきた。「岡田さんの脚本は、市井の人の日常がこんなにも愛おしいんだと思わせてくれる、そして、見ている人にも自分の日常を愛するきっかけを与えてくれるところが魅力だと思います」。

人々の細やかな機微を描く岡田惠和の脚本はもちろん、連続ドラマを手掛けるのは24年ぶりとなる久石譲の音楽も要注目!(c)TBS


本作の脚本の作り方について、「私は、作家の中にあるものが出てくるのが一番いい脚本になると信じているので、打ち合わせでも『このシーンをこう書いてください』と具体的な指示をすることはほとんどないんです」と持論を語る佐野P。「今回の作品で一番大切にしているのは、すずという人をいかに愛してもらえるか、ということ。『行く末を見守っていきたい』と応援していただけるよう、全力を注ぎたいと思っています」と本作に懸ける思いを明かしてくれた。