助演女優賞は木村多江! 薄幸キャラは脱却!?『最後は“アナコンダ”とまで言われるようになりました』【ドラマアカデミー賞】

2018/08/10 12:00 配信

ドラマ

助演女優賞は「あなたには帰る家がある」での怪演が話題を集めた木村多江が受賞撮影=石塚雅人

2018年春クールに放送されたドラマを対象にした「週刊ザテレビジョン 第97回ドラマアカデミー賞」で、木村多江が助演女優賞に輝いた。

あなたには帰る家がある」(TBS系)で、主人公・真弓(中谷美紀)の夫・秀明(玉木宏)との不倫に溺れる茄子田綾子役を演じ、その怪演が話題を呼んだ木村。その恋ゆえに狂気的な行動を取る綾子だが、「彼女だからこそ、役が下品にならなかった」といった評価も多かった。そんな木村を直撃し、役に込めた思いと撮影の裏側を聞いた。

――今回、不倫して家を飛び出す主婦・綾子を演じ、助演女優賞を初めて受賞されました。受賞の感想を聞かせてください。

このような賞をいただけると思っていなかったですし、綾子は生みの苦しみがあった役ですので、うれしいですね。実は私の性格はサバサバしていて、綾子の要素があまりないんです。綾子を湿度の高い女性として演じるため、それはもういろんなものを“盛って”、ふくらませました。真弓役の中谷美紀さんが美しいので、秀明がその妻を置いてでも走ってしまう女性像をみなさんが納得してくださる形で作らなきゃいけない。そういうプレッシャーがありましたね。

――綾子が不倫相手の秀明に入れ込んで暴走していく様が話題になりましたが、綾子をどのように演じようと思いましたか?

男性は好きになるタイプだけど女性からは好かれない。綾子をそんな女性として演じようと思いました。しかも、ただ怖いだけの人にはしたくなくて、綾子の先を見たくなるように演じたかったんです。そもそも人間には“平常”と“狂気”が表裏一体であると思いますが、綾子はちょっと狂気のほうが多い人。でも、日常の家事もちゃんとこなしている。そこのバランスが毎回難しくて、「本当にこの芝居でいいんだろうか」、「もっと違う方法があるんじゃないか」と自問自答する日々でしたね。悩みすぎて眠れない日が第6話の撮影時ぐらいまで続きました。

――綾子は実は純粋な女性とも言えるのでしょうか?

「少女のよう」というか純粋であるがゆえに突拍子もない行動を取ってしまうんですよね。例えば、第4話で浮気相手の奥さんである真弓の会社にメンチカツを持っていくとか(笑)。綾子としては、秀明と別れた悲しみゆえに、「彼のためにこういうものを作ってあげてよ」という気持ちでやったことで、彼女の中では正しいんですよね。そうは言っても演じた私から見てもツッコミどころ満載で「肉を挽くところから作るのかーい」とか、秀明にトルティーヤを持っていったときもランチボックスがすごく重くて「これに瓶詰め入れてきたの!」と内心、思っていました。

――ドロドロの愛憎劇なのに、見ていると笑えるというコミカルな要素もありましたね。

第8話では秀明のアパートに先回りし、彼のパーカーを羽織って真弓の前に出てくる場面がありましたね。あの場面も綾子自身は一生懸命やっているように演じようと思いました。でも、本番では「笑ってもらうぞ」とやる来まんまん。スカートをまくりあげて猛ダッシュしようと決め、ちゃんとストレッチをして現場に入りました(笑)。監督のカットがかかった瞬間、中谷さんと玉木さんも笑っていましたよ。他の場面でも、本番が始まる直前まで(綾子の夫・太郎役の)ユースケ・サンタマリアさんも含め、4人で笑いながら仲良くしゃべっていました。

――木村さん、中谷さん、玉木さん、綾子の夫・太郎役のユースケさんの4人の演技力が思う存分、発揮されていたように感じました。

それぞれ共演の経験があって信頼関係があるところから始められましたし、みんな役柄を“生きて”いたからこそ、演技をぶつけあうことが本当に面白かったです。綾子は最後に夫の太郎を選びますが、私とユースケさんは「ホームドラマ!」(2006年TBS系)など、何度も夫婦役で共演しているんですね。だから、お芝居をしている間はユースケさんが何を感じているのかが分かる。すると、太郎さんの悲しみ苦しみが押し寄せるようにこちらに伝わってくるんです。だから、やっぱり綾子は太郎さんを嫌いになれない。でも、人間って常に揺れているものじゃないですか。そんな揺れをちゃんと見せたいなと思いました。ラストシーンでは茄子田家に戻ってお姑さんにもマウンティングしたから、「綾子って意外に、勝ち組?」とも思いました(笑)。

――木村さんがこれまで演じてきた役は薄幸なイメージのものが多かったですが、綾子は結果的にちがったということでしょうか?

見てくださる方も最初は、「木村多江がまた薄幸な役をやっている」と思ったでしょうけど、ドラマの中でも「魔性」「魔女」と言われ、最後は「アナコンダ」とまで言われるようになりましたからね。そういう意味ではみなさんを裏切らせていただいたのでは(笑)。綾子の薄幸なだけじゃない多面性を演じることができたので、よかったなと思いますね。綾子だけではなく、真弓も秀明も太郎もみんな不完全で未熟。そんな4人の成長物語でもあって、人間くささがこのドラマの魅力になっていたと思います。

脚本賞・徳尾浩司さんの受賞インタビューは8月11日(土)昼12時に公開予定!

取材・文=小田慶子