──ヒロインに清原果耶さんを起用された理由は?
「経験豊富な成人の女優さんが演じるよりは、17歳の主人公と同じく瑞々しい感性を持った女の子が、初めて産婦人科の病院にやってきて、いろいろなことを経験し、感じながら演じていく。いわばドキュメンタリーのようなドラマにしたい、というのが起用理由のひとつです。彼女はキャリアこそ浅いけれど、お会いしてみると、感受性がとても豊かで、存在感がある。目の力強さも素敵ですよね。実際に撮影を見ていて、手前味噌ですが、非常にいいお芝居をしていると思います」
──院長役の瀬戸康史さんについては?
「原作ではたまにしか出てこない人物なんですが、ドラマではこの人を膨らませたい、というのがまずあって。主人公の上司役って、ベテラン俳優がやるのが定番じゃないですか。だけど今回は、院長も、ちょっと未熟で、『果たしてこれでいいんだろうか』と現在進行形で自問自答している、そういう人物として描きたかったんです。それで、30代半ばの設定で瀬戸さんにお願いしました」
──院長にも迷いがあるというのは、ドラマの作り手から視聴者に対して、いわば“正解”を提示しない、ということでもありますよね。
「僕は、ドラマで答えは出せないし、もっと言えば、出してはいけないと思っていて。僕らに唯一できるのは、“問いかけること”。特にこの作品は、人それぞれの死生観や倫理観が出てくるので、こちらからメッセージを押しつけるのではなく、見た方それぞれが考えたり、何かを感じたり、そんなドラマになればいいなと思っています。
今回、産婦人科の医療に携わる方々に取材したときに、皆さんおっしゃっていたのは、どれだけ現代医学が進んでも、出産は命がけなんだと。産まれるのが当たり前という安全神話と、産婦人科の病院で日々起きている現実とのギャップが大きいということを痛感したんですね。ですから、このドラマではそこは逃げずにきちんと描きたいですし、そして“万が一のことが起きて打ちのめされた人々”が、その後どう立ち直っていくのか、そんな医療従事者たちの姿も描きたいと思っています」
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