松本幸四郎と市川染五郎が親子で共演! 染五郎「本当に好きでお芝居をしているんだなと伝われば」

2018/08/22 19:19 配信

芸能一般

松本幸四郎と市川染五郎が親子で対談!(C)NHK


――今後どういう役者を目指したいですか。

高麗屋の持つ“型”や、芸を守りつつも、自分にしかできない新しいことにも挑戦できる役者になりたいです。

――新しいことに関する具体的なアイデアや、やってみたいことはありますか。

番組でもお話したんですけど、本当にやることがなくて…。父がいろんなことをやり過ぎちゃって、ネタ切れ状態なんです(笑)。でもやるからには自分にしかできないことをやりたいです。

一つやってみたいことは、自分や高麗屋だけでなく、他の役者さんにも上演していただけるような “舞踊”の作品をいつかつくりたいなと思っています。

――今まで見たことない方に向けて歌舞伎の楽しみ方を教えてください。

最初はやはり新作を見ていただければ入りやすいのかなと思います。例えば、市川猿之助のお兄さんが「スーパー歌舞伎II ワンピース」を作られたり、父もラスベガスで「獅子王SHI-SHI-O」などの新作を上演していて。

日本だけではなく、海外の方にも見ていただけるような歌舞伎を他の役者さんが作られているので、そこから歌舞伎の色彩などを知っていただいて、古典も楽しんでいただければと思います。

――今回放送される「勧進帳」の見どころを教えてください。

「勧進帳」はとても深い作品だと思います。弁慶が義経を大事に思い、守りたいという気持ちや、富樫がそんな弁慶を思う気持ちを察して、自分が死ぬ覚悟で関所を通すという、“弁慶と義経の関係”と“弁慶と富樫の関係”を描いた物語です。

そういう登場人物の関係に注目していただくと、言葉が難しくても物語は分かるのではないかなと思います。

あと、自分は劇場で歌舞伎を観るときは、筋書を見て予習してから舞台を観るのではなく、筋書を見ながらお芝居を観るようにしています。そうすると分かりやすいかもしれないですね。

――番組内で「弁慶が憧れの役だ」とおっしゃっていましたが、舞台から見る幸四郎さんが演じる弁慶はどう映りましたか。

義経を演じることが決まったときに父が、義経は弁慶の見せ場の時もずっと座って、下を向いているので、あまり「勧進帳」のお話自体は見ることができない役だと言っていました。

実際に演じてみると、本当にどこの場面も見ることができないので、正直客席から見た方が勉強にはなるかなと思いました(笑)。でも舞台上では、耳で吸収できることは全部吸収しました。

――幸四郎さんから義経を演じる上で何かアドバイスはありましたか。

義経はこの舞台の主役なので「堂々と演じろ」ということを言われました。義経は品や存在感がないといけない役だけど、富樫に義経だということがばれてはいけないから存在感を消さなければならない。

存在感を出すところと出さないところの切り替えが難しい役でした。最初の花道では存在感を出し、舞台では存在感を消さないといけないという調節が難しいなというところは演じてみて感じました。