山田孝之&菅田将暉「dele」に漂う”怖さ”のウラガワ『“消す”という行為の裏には、蓋をされてしまう“真実”がある』

2018/09/13 12:00 配信

ドラマ 連載

祐太郎(菅田将暉)には命の危機とも言っていい場面が(C)テレビ朝日


日本の社会状況がモチーフに…ストーリーのウラガワ


そんな7話は、日々起こるさまざまな事件に反映される今の日本の社会状況をモチーフにしているという。

脚本を担当したのは、徳永富彦氏。ドラマ「相棒」シリーズや「刑事7人」、「特捜9」(全てテレビ朝日系)にも名を連ねる実力派で、社会問題を内包した物語展開を得意とする。

山田Pは「『dele』の良さは、いろんな物語を内包できる可能性を持っているところです。その中で一つ、テレビドラマとして制作する上でやっておきたかったことが、今の日本の社会状況をモチーフにしつつ、そこに『dele』ならではの見方を採り入れてエンターテインメントにできないか、ということだったんです」と明かす。

もちろん設定や結末はフィクションだが、“現実にあるかもしれない事件”を描くことで、「誰もが犯人たり得る」というエンディングが説得力を持って迫ってくる。

“消すこと”の怖さに向き合った回


そしてもう一つ、7話のテーマになっているのが“消す”という行為の怖さだ。

「暴き始めれば、いろんなものが壊れていく。だから俺はいつも中を見ずに削除してきた。責任が取れないからだ」という圭司に、祐太郎は「俺だって責任取れない。暴くのは怖いよ。でもさ…消すことだって、同じくらい恐ろしいことなんじゃないの」と応える――。“消すこと”に対する2人の立場は明確だ。

そもそも「dele」とは“消す”を意味する校正用語だという。ドラマそのものの本質に大きく迫った7話について、常廣丈太監督は「見せないようにしていたものが見えてしまった。そのことによって何が生じるか、ということを描いた回です」と語り、山田Pは「彼らが生業にしている“消す”という行為の裏には、ふたをされてしまう“真実”がある。彼らの仕事そのものに内在する本質的な怖さ…そういうものが吹き上がる、そんな回を目指しました」と振り返る。

dele.LIFE」を立ち上げ、粛々と“消す”作業を続けてきた圭司。一方、祐太郎の中では、真実がふたをされたまま葬り去られることへの違和感が大きくなっていく。

その違和感が、ドラマを前に進める原動力だ。7話でも、祐太郎は毒物混入事件があった街に赴き、次々とウソの身元をかたってフットワーク軽く調査を進めていく。

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