――一方で、西岡徳馬さんと二人だけのシーンは空気が違いましたね。
大東:めちゃくちゃハードルが高かったですよ(笑)。
倉野尾:ふふふ(笑)。
大東:まず、西岡さんに「僕は、台本を渡されていない役者じゃない人たちと、お芝居か何かもわからないことをしています。コミュニケーションを取っています。だから、申し訳ないですが、僕は台本通りにやらないです」っていうことを説明しました。「何を言うかわからないので、構えないでください」と。大先輩に「何を言ってんねん!」って感じですよね。
実際に冒頭から(台本と)全然違うことを話し始めました(笑)。でも、そうしないと駄目なんですよね。そこだけ芝居みたいになっても恥ずかしいと思ったんですよ。役者だけのシーンが芝居染みているというのは、バランスが悪いなって思ったので。
まさに、さっきも言った彼女たちと話すには、自分の本当の気持ちが必要、町を知る必要があるってことと同じで、徳馬さんと話すには、その町の魅力を知っている自分だから話せる言葉を持っていくということにしました。
全てがうまく運んだ気がしましたね。(劇中で)徳馬さんに言ったことは、本当に自分の思ったことだし、自分の故郷でもない土地のことをこれだけ一生懸命考えるって、自分の中ですてきなことが起きているなっていう実感はありました。
――今作の企画をした前田さんから言われたことはありますか?
大東:特にはないんですけど、1年のほとんどを東京ではない地方で過ごしていると言っていて、前田さん自身、たぶん日本のいろんな面を見てきていると思うんですよ。悲しい現実もあるだろうし、リアルをどこまでかわからないですけど、いろいろ見てきている。そういうお話はしました。
前田さんのそういう思いを形にできることって、すごくすてきなことだと思うんですよ。映画というツールを使って、こういう日本があるんだよって示せる。それはとてもすてきな発想だなって思います。まだいろいろ構想をしているみたいです。
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