『ダンサー・イン・ザ・ダーク』などの名作映画を次々と世界に送り出しているデンマーク。ドラマも「THE KILLING/キリング」「THE BRIDGE/ブリッジ」など、ハリウッドでもリメイクされるほどの良作が発信されていることでも知られている。そんなデンマーク発の最新サスペンス・アクション「BELOW THE SURFACE 深層の8日間」が、スーパー!ドラマTVにて独占日本初放送されることが決定した。
デンマークの首都・コペンハーゲンの地下鉄で起きた爆破テロの犯人グループに、人質に老若男女15人を救うため奔走する対テロ特殊部隊。彼らの攻防を軸に、登場人物たちの過去や人間関係など奥深いドラマを、事件発生から解決までの8日間、1話1日で描く。今回は、対テロ特殊部隊のリーダーでもある主人公フィリップ・ノアゴーを演じた声優・神谷浩史に、海外ドラマの吹き替えに対する思いなどを聞いた。
「ジーニアス:ピカソ」での青年期のピカソ役など、海外ドラマの吹替版声優としても活躍されていますが、アニメと海外ドラマのお仕事の違いはどのようなものだと感じられていますか?
「そんなに変わらないと思います。ですが日本で制作される作品は、登場人物の心情を表現する上で必要な、演技に対する答えを持っているんです。ところが海外作品だと、映像はもちろん音楽などすべて完成しているので、各シーンがどういう意図で作られたかというのを聞くことができないんですよ。日本語吹替版のアフレコは日本人が観て、このシーンを理解するために必要な情報をセリフで付加していく作業になってきます。『このシーンはこういう意図で作られています』というよりは、『この後、このシーンにつながるためには、こういう芝居をしておいた方がいいだろう』だったり、前後のシーンからのつながりなどで、セリフの真相みたいなものは推察するしかできないんですよね」
「それを実際に演じている役者さんの顔の表情や、彼らのセリフのニュアンスなど感じ取って、それをとりあえず一度演じてみるんです。それから音響監督に、その演技がズレていないかを判断していただくんですよ。もし、どうしても分からなかったら『このシーンに関しては、こういう意図でお芝居をしてもいいでしょうか?』と確認することもあります。それに対して、『それだと後々ズレてくるかもしれないから、こっちにしてください』や『それで合っています』というやり取りになってくるんですよ。だから、『このシーンは、どういうものを求めていますか?』と聞いても、残念ながら答えが返ってこないという点では、海外ドラマはアニメーションとは違うかもしれないですね」
海外ドラマの吹き替えならではの準備はありますか?
「作品の世界観において、『これはどう受け止めたらいいのか?』という疑問が出てくるところがあるんです。本作でいえば、『コペンハーゲンでテロ事件が起こり、人質事件になっている』に対して『日本でいうと東京の丸の内みたいなものですか?』みたいに質問するんです。『日本に置き換えると、どの辺?』『これは日本で起きた事件だと、どれくらいのレベルの事件なの?』とか。作品自体、割と静かに淡々と物語は進んではいくんですけど、『もし丸の内で8日間にわたる人質事件が起きたら、とんでもない事件だろうな』と思うんですよ。都市機能だってマヒするでしょうし...。『そういう大事件に今、当たっているんだ!』というような感覚の置換作業をしましたね」
文=中村実香 撮影=干川修 ヘアメイク=NOBU(HAPP'S) スタイリスト=村田友哉(SMB International)
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