「まんぷく」の世界観を音楽で支える川井憲次、キーワードは『新世界ルナパーク』

2018/10/26 05:00 配信

ドラマ インタビュー

【写真を見る】10月26日(金)放送の第23回では萬平(長谷川博己)に赤紙が届き、福子(安藤サクラ)は心配のあまり取り乱す(C)NHK


さらに、「最初の打合せで、音楽全体のキーワードとして明治末期に開業した遊園地の『新世界ルナパーク』という言葉が出てきました。実際にパークがあったのは大正時代で、ドラマの昭和時代とはズレがあるのですが、それはそれとして、かつての日本人が抱いていた欧米への憧れと、華やかな大阪ならではのパワフル感、そこに息づく日本人のDNAなどを音楽で表現できないかと。それにはジャズがいいね、という話も出ました。

ただし、あくまでも日本人のDNAを感じさせるジャズです。さらにそこに、大阪のコテコテ感もプラスしていきたいということで、打ち合わせ直後にかつてルナパークのシンボルだった通天閣に行ってみたんです。その情緒感をたよりに『メインテーマ』は、洋風でありながら、メロディーは完全に和風の曲に仕上げました。エネルギッシュでバタ臭い、でもどこか郷愁を感じさせる曲がいいなと思って。僕は大阪の暖かさやパワフル感は大好きで、それをいかに表現するかのヒントを通天閣からいただいたような気がします」と作曲の際に心がけていることなどを語った。

そして、「『福子のテーマ』は、バイオリンのソロで、女性らしい芯の強さを表現し、『萬平のテーマ』は、常に遠くを見て前へ進んで行く萬平の生き方を表現してみました。特にちょっと変わり者の萬平の“飛んじゃってる”ところも、ホルンなどブラス系を加えて突き進んでいく感を出してみました。

今回、特に全体的に悩んだのは、情緒を持たせつつ、いかに明るくしていくか、ということでした。しかも元気さも感じられる音楽にしたいわけですが、その3つはベクトルがそれぞれ異なります。ただ無難に鳴っている音楽ではなく、萬平や福子を積極的に後押しできるような音楽をドラマのスタッフの方々と相談しながら作っていきました」と語る川井。

最後に視聴者へ「音楽を通じて当時の大阪の雰囲気を、ぜひお楽しみいただけたらと思います」とメッセージを送った。

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