倉科カナ、境遇の似た役に「痛みを力に変えた」立川談春「すごい話」

2018/10/29 07:10 配信

映画 インタビュー

さつき(倉科カナ)と六郎(立川談春)が25年ぶりに再会(C)2018映画「あいあい傘」製作委員会


演じるために距離感を


談春:今、いい事を言ったようなトーンでしゃべっていますけど、後で聞いたらたいしたことは言ってないですよ。

――そんなことはないです(笑)。お二人は初共演ということですが、印象は?

談春:(倉科さんが)寄って来ないもん。

倉科:え!?(笑)

――25年ぶりの再会というシーンのために距離を取っていたということですか?

倉科:(うなずく)

談春:そうだと思う。ただ、普通の人が想像するような、もしくはこのインタビューを読んでくださっている人たちが、「それが役作りの一歩目なんだ」というほど、分かりやすくもなければ浅くもない。

僕は正直、不思議だったんです。いくら親子で邂逅すると言っても、これはお互いに分かった方がいいんじゃないのかなっていう疑問はあったんです。でも、それが全て解けたのが、さっきの(倉科さんの)話です。実は同じ境遇で、「共感し合おうと思えばできる部分があるんですよ」と言われたら、俺には言えない、分からない、倉科さんじゃないと分からない。何で主役を引き受けたのか、私は何をしなければいけないのか、というのがあるんだなって。

倉科:うんうん。

談春:老婆心ながらそう思いましたね。

倉科:そうですね。私も衣装合わせで役作りに関して、(監督に)お会いしてすぐに「父に会いに行くという思いだけで現場に伺ってもいいですか?」ってお伝えしていて、「それでいいよ」っておっしゃってくださっていたんです。だから、他に何もしていないんですよ。

でも、父に会いに行くという思いだけは、すごくセンシティブに扱ってきた現場だったから。他はすごく楽しかったんですけど、そこだけはできるだけ距離は詰めないように。お話をしたとしても、“これは談春さん”“これは談春さん”って(頭の中で言い聞かせていた)。

談春:嫌われているのかと思った(笑)。

倉科:ふふふ(笑)。でも、周りの方もすごく理解してくださっていて、原田さんともあまりお話ができていないんですけど、原田さん自身も距離を詰めない方がいいんじゃないかって思っていらっしゃったらしくて。みんなプロフェッショナルでしたね。思いやりのある皆さんでした。この映画、この役柄には、自分たちが何をすべきかとか、すごく温かくて…いやぁ、プロでしたね。

さつき(倉科カナ)は六郎(立川談春)の新しい家族・玉枝(原田知世)らの前に現れるが…(C)2018映画「あいあい傘」製作委員会


――そういう全てのことが、25年ぶりの再会の場面につながっていくわけですよね。あのシーンはもっと長く見ていたいと思うくらい、すごく引き込まれました。

談春:うまいこと言うなぁ。今、ここでやりましょうか?

倉科:ははは(笑)。

談春:(せりふ)3行くらいなら覚えてますよ(笑)。

倉科カナ立川談春インタビュー後編に続く】

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