聖に拒絶され、体育祭の途中で学校を飛び出した晶は、その勢いで海に向かって自転車で暴走するが、自転車ごと転んでケガをしてしまう。そこに聖が偶然通りかかり、心配して近づくや晶は聖をいきなりハグ！ 「僕のこと、嫌いにならないでください」と訴える。聖は鍵を忘れて家に入れない晶を自宅に連れて行き、ケガの手当をしつつ冷静さを保とうとするが、そこに勝太郎(町田)がやってくる。
【別冊なかむらりょうこが読む！】偶然ケガした晶を見つけるという状況が状況ですし、晶がこれだけ“かまって”感を出してくると、女性側としては「だから放っておけない」って言い訳がつくれてしまう。心理的なハードルが下がるんですよね。しかもここまでハッキリ言われたら、もう曖昧にして逃げられなくなっちゃったって状況でしょう。逆に晶としては、ケガしたところを聖に偶然見つけてもらえるなんて、運命だと思っちゃうはず。さらに聖に対してここで思いを吐きだすことができて、少しだけ幸せな場面と言えるかも。
学生時代からの交際を経て婚約した聖と勝太郎だが、聖の中学校赴任後は遠距離恋愛となり、擦れ違いぎみ。婚約のあいさつでも勝太郎が仕事で遅れる中、両親との顔合わせをすることに。そこで聖は、退職を勧める両親に対し、自分の「目標」である勝太郎にふさわしい人間になるため仕事を頑張りたい、と告げる。一方、勝太郎は頻繁にちょっかいを出してくる上司・原口(吉田羊)に手を焼いていたが、次第に本音を言える仲になっていく。
【別冊なかむらりょうこが読む！】恋人を「尊敬」とか「目標」って言ってしまうのって、どうなんでしょう。無条件に好き！っていうのと違って、距離感ないですか？ この作品って、そういう「気持ちの中にある真実」にハッと気付かされることが詰まっているんですよね。でも聖がそう思うのは、勝太郎がそんな男を演じちゃっているから。理解ある大人の男を演じて距離を詰めないから、お互い言えないことが増えてもどかしさだらけになってるんだよ！って。私から言えることは、「勝太郎、もっと爆発しろ！」です(笑)。
個人的には、勝太郎を演じる町田啓太さんのルックスが、晶を演じる岡田健史さんの成長後ってイメージで近い系統に思えるので、聖から見たら晶は絶対、ドンピシャタイプなんだろうと思うんですよね～(笑)。
聖が慕う先輩・千鶴(友近)は、ドラマオリジナルのキャラクター。聖が抱えるモヤモヤを吐露し、状況を整理し、その本心まで分析してくれる重要な存在だ。また晶の母・愛子(夏川結衣)は原作では夫とは円満に同居中。ドラマ版では離れて暮らす複雑な事情があることを匂わせており、息子に固執する一面をより強調して描いているとも言える。さらに原口に関しては恋人(中山咲月)の存在を明確に描くなど、ミステリアス度もアップしている。
【なかむらりょうこが読む！】漫画での聖は、細かい心情がハッキリ示されず読み手に委ねられている部分も多いので、聞き上手な千鶴のお陰で、聖の自尊心の低さもきっちり伝わるし、より感情移入しやすくなっているように感じます。愛子はドラマ版の設定により、決してモンペ(モンスターペアレント)ではなく、息子にこだわる背景が自然と理解できる描き方になっていますよね。また愛子と聖が頻繁に連絡を取り合っていて、原作以上に仲良しの雰囲気。この関係がどう変わっていくのか…ドキドキします！
原口さんは勝太郎に興味アリなのかと思っていたけど、勝太郎に聖の話ばかり振るあたり、ひょっとして聖にも興味が…？なんて期待も！
第3話(10/23放送)で晶への思いを自覚した聖。教師としての立場からその思いを払拭しようと努める聖だが、第4話(10/30[火]放送)では、晶からさらなるアプローチが!?
【別冊なかむらりょうこが読む！】今後晶は未熟さからある事件を起こし、聖も苦しい局面に立つこととなるせつな辛い展開に。私の本音は「2人には幸せになってほしい！ 理想は晶が大学生になって聖にまだ好きだと告白、その上で聖に『え、私もうオバさんだよ。こんな私でいいの？』って言ってほしい～！」なのですが、原作もまだ連載中なのでドラマの展開は未知数。原作のかわかみじゅんこ先生の作品は、必ずしもハッピーエンドとは限らないので、原作ファンもラストまで目が離せません！
別冊なかむらりょうこ
これまでに約3000作品を読んだ生粋の少女漫画好きで、漫画家・東村アキコのアシスタントとしても活動。ピン芸人・中村涼子名義では、「女芸人No.1決定戦THE W」(2017年日本テレビ系)にて決勝進出を果たした。ニコニコ生放送にて「別冊・少女マンガ倶楽部」(毎週月曜夜10:00-11:00)が放送中
取材・文＝magbug
この記事の関連情報はこちら（WEBサイト ザテレビジョン）