向井理が語る“俳優としての進化”とは?

2018/11/07 06:30 配信

ドラマ

「パンドラ」シリーズ最新作の主演を務める向井理(C)2018 WOWOW INC.

向井理が役への思いを明かす!


――役へのアプローチについては?

周りの人たち(自分以外のキャラクター)のせりふから自分の役にアプローチすることが多いので、「じゃあAIっぽいって何だろう?」という感じで役と向き合いました。演じていくにつれてオンとオフがはっきりしている人だなと思い、今はやりやすさを感じていてなじんでいますね。

――いつも周りのキャラクターのせりふを通して役にアプローチしていくのですか?

もちろん作品や役によって違うこともありますが、周りのキャラクターが鈴木をどう捉えているのかが大事で、それが自然だと思うんです。もし自分が全然違うキャラクターを作ってきてしまったら、彼らのせりふが成立しなくなってしまいますから。人間というのはいろんな面を持っているのが当たり前で、相対する人物から見た人物像を成立させるよう「こういう人」というような役作りはしないですね。鈴木も、仕事場と母親の前、過去の鈴木では全然違うので、「ずっと同じ芝居をするのは違うんだな」ということを今回また改めて気付きました。

――同シリーズは科学技術の進化を切り口としていますが、ご自身が俳優として進化(=成長)したと思うところは?

やり方ですね。昔は(役について)考え過ぎて作り込んでみたり、逆に考えなさ過ぎてみたり、極端なところでいえば、全然台本を覚えずに現場に行って現場で起こるエネルギーを重視してみたり。いろいろなやり方を試してみて台本全部を自分の中に落とし込まないと駄目だなと分かって、今では他の人の台詞まで全部頭に入れて現場に行っています。

きっと正解のやり方というのはなくて自分のやり方を見つけられればいいんだなと気付きました。自分のオリジナルのやり方になるには、いろんなことを経験して、捨てるものは捨てて、拾うものは拾って、一回捨てたものをまた拾って…というふうにいろんなことを積み重ねて今のかたちになっていると思う。だから、似ていることはあっても全く同じというものはないんです。これまで刺激を受けない作品や現場はないので、毎回「この作品をやってなかったら違うやり方になっていただろうな」と思いますね。

――作品に登場する“AI診断”がもしあったら、受診したいですか?

それはもちろん受けてみたいです。ただ、もっと進化して健康診断のように何の不調も感じていない状態で受診して、「何年後に何が起こる」というようなことを知ることになるというのは、果たして幸せなことなのかという議論にまで発展するなと。例えば極端な話、胎児の時に「30代で脳梗塞で死ぬ」って分かって生まれた子供は本当に幸せなのか…。知らなくてもいい事実までもさらけ出してしまうという怖さはあるなと考えてしまいますね。

――最後に視聴者の方にメッセージをお願いします!

“AI”は人間の生活に完全に入って来ていて、無意識に身近になってきている技術。そんな“AI”との生活の中で生まれる“答えの出ない問題”を突き付けるような作品になっていると思いますので、見て下さった皆さんがそういうことを考えるきっかけになればいいなと思っています。社会派のドラマだからこそ「便利の裏に隠れた不幸があるんじゃないか」というようなことを突き付けられると思いますので、ぜひご覧ください。