――ドラマをご覧になって、感じたことを教えてください。
まず、渡辺真理さんのナレーションの稼働の多さ(笑)。あのナレーションの部分は台本にはないんです。でもこのナレーションがあることで、すごく分かりやすくなっている。
後半になると、ナレーション自体がツッコミになっていくんですよね。そのフリも効いていて、なるほどなぁとびっくりしました。こういうふうに物語を分かりやすくしてもらっていて、すごくありがたく、新鮮でした。
――ドラマにはテロップが多く登場します。この作風をどう思いますか?
一応説明はされていたんですけど、全然ピンとこなかった。「どういうこと? テロップ? バラエティーじゃないんだから」って。
でも、仕上がってみたらあんな感じで。ドラマでは見たことがない量の説明とテロップだなとは思うけど。多分この作品に合わせるような試行錯誤があったんだろうなとも思いました。すごくありがとうっていう気持ちです。
監督の山口(淳太)さんも、脚本の山内さんも、編集チーフの坪田早紀子さんも、連続ドラマを担当するのが初めてで。僕も連続ドラマ初主演で、“初めてさん”たちが、割と各セクションに大集合しているんです。だから並々ならぬ情熱と愛情で、なんとか面白くしようと思っている人がすごく多い現場だったんだなとオンエアを見て改めて思いました。
――出演のオファーは、総監督の本広克行さんの家のパーティーに呼ばれ、サプライズのような形で伝えられたとうかがいました。
サプライズほど気の利いた会ではなくて。「実は…なんと…!」みたいな盛り上げもなく。呼ばれて行ったらそこからすぐ打ち合わせが始まった感じでした。打ち合わせの前に、そもそも概要知らないしなぁと思って。
ある程度スタッフ間でコンセンサスが取れているから、「この九官鳥のくだりさぁ」とかいう話を振られるんですけど、「あの、九官鳥ってなんですか?」みたいな。
だから全然その日の鍋の味も覚えてないです。すごくおいしい鍋を作ってくださっていたはずなんですけど。自分の人生でこんなことが起こると思っていなかったので。僕はホームパーティーとだけ聞いていて、角煮作って持って行っただけなので(笑)。だからちょっと信じられない一日でした。
――台本は瀧川さんの当て書きだったのですか?
当て書きじゃないんです。僕が年末にその鍋会に行った時点で、すでに4話くらいまでできていました。でもその後、会って話して、なんとなく話し方や声を参考にしてくれたと思います。
クランクインする何カ月も前、まだ台本執筆中の頃に、脚本の山内さんと僕の2人でカラオケボックスに行って、できている台本をひたすら読んで、山内さんに聞かせる会があったんです。主演俳優ってそんなことする必要ないじゃないですか、一般的には。脚本家と2人きりで、今後の台本作成のために、目の前で脚本を読む会なんて有りえないと思うんですけど、でもそういうノリだったんですよね。
主演俳優だからって、現場に来てやってくれればいいから、みたいな扱いじゃなくて。脚本の打ち合わせとか、世界観のルール決めとか、キャスティングで誰がいいか候補を出すとか、そういう会議にも呼んでくれたんで、スタッフの一員みたいな感じで参加していました。それがすごく良かったです。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)