――閣下は「火ノ丸相撲」にどんな印象をお持ちですか?
閣下:今まで出版された相撲の漫画はかなり読んでるんだけど、そのどれにも当てはまらないストーリー、シーンを持っている漫画だね。相撲ファンとして「ここは変だよ」と突っ込むところもそんなになく。それはまあ、ジャンプ漫画らしく、そもそも大太刀高校自体がおかしいからなんだけど(笑)。
阿部:相撲の漫画ってだいたいが大相撲を舞台にしているんですが、この作品のように高校相撲を舞台にした作品って珍しいですよね。その中でジャンプの「友情・努力・勝利」が詰まっていて、僕も読んでいてとても面白いなって思いました。相撲にそれほど興味がなくても面白く読めるし、相撲に対して興味が持てるようになる作品なんですよね。
閣下:良いこと言うね。確かにそうだと思う。
阿部:僕も相撲中継は観ますけど、そこまで技のことや立ち合いのことに興味を持って見ていたわけではないんですよね。でも、この作品に関わってからは相撲の見方がだいぶ変わって、十数秒のぶつかり合いの中でどういう駆け引きがあるのか、どういう技の応酬があるのか、そういうのを楽しみながら見るようになったなって思います。
閣下:そこ、大事なポイントだね。相撲が分からない人でも面白く読めるというのは。それはこの作品の中にいる、相撲をやるつもりじゃなかったのに、火ノ丸に感化されて相撲に入っていく登場人物たちの心の動きに似ているんじゃないのかな。
阿部:そうなんですよね。この作品をきっかけに相撲を始めて、大関に、横綱になりましたっていう人が出てきたら嬉しいですよね。
閣下:それは嬉しいね。そういう関取が生まれて、「いやー、中学の時見てたんすよ」とか言われたら最高じゃないか。
――このインタビュー(2018年12月)の掲載は三月場所前になりますが…。
閣下:そんな先の予想はできないぞ(笑)。
――ではなくてですね。今場所(十一月場所)を見て、今後注目の関取は誰になるのかを教えていただきたくて。
閣下:それはやはり貴景勝だな。数場所前までは素質はあるが、やはり上背がないから一皮二皮向けないと大関、横綱になるのは厳しいだろうと思っていたのだけど、十一月場所で自分の劣っている点、苦手な点を見事に克服して初優勝をした。で、俄然次の大関候補になっている。もしかしたらこれの掲載時、すでに大関になっているかもしれない。
とは言え、次も優勝できるかというところが一番難しくて、当然研究されるし、上の番付で好調を維持し続けるというのも大変に難しい。今後どれだけ成長を上積みできるかが問われてくるところだろうな。
貴景勝は大相撲の世界では小兵になるので、やや火ノ丸と重なるところもある。そういう視点を持つのも、三月場所を楽しむポイントになるんじゃないかな。
――それでは、アニメ「火ノ丸相撲」の今後の見どころはどういうところでしょうか?
阿部:全国大会が始まって、国宝がひしめく中で今まで以上に熱い戦いが始まります。大太刀高校の1人1人にドラマがあるように、対戦する相手にもドラマがあるんですよ。それぞれが負けられない理由を背負っていて、それがものすごく共感できるものなんです。相撲での対決シーン、登場人物のドラマと両方に注目して見ていただけるよう、一層熱を入れて頑張っていきたいです。
――閣下から、作品ファンへメッセージをお願いします。
閣下:漫画のファン、アニメーションのファン、それぞれのファンがいると思うんだけど、漫画には漫画の面白さ、アニメにはアニメならではの醍醐味があるので、その醍醐味をぜひ楽しんでもらいたい。吾輩の声の出演は1話のみなので、決して見逃さないように!
取材・文:鈴木康道
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