<いだてん>劇伴には即興演奏や中南米の要素も!大友良英「音楽もずっと走ってる」

2019/01/21 06:00 配信

ドラマ インタビュー

中村勘九郎、阿部サダヲが主演を務める大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」がスタートした。

宮藤官九郎が脚本を務める本作は、1912年に日本で初めてオリンピックに出場した金栗四三(勘九郎)と、1964年の東京オリンピック招致に奔走した田畑政治(阿部)の2人の主人公をリレー形式で描く。

1月20日に第3回「冒険世界」が放送されたばかりだが、すでに大きな注目を集めている本作で、音楽を担当しているのは連続テレビ小説「あまちゃん」(2013年)などで知られる大友良英氏。

躍動感にあふれるオープニングテーマや、さまざまな楽器が使用された劇中音楽の制作経緯などを大友氏に聞いた。

【写真を見る】第3回では、四三が上京。そこで流れる音楽とは…?(C)NHK


大河ドラマと“朝ドラ”の違いって?


――オープニングテーマはどのように作っていったんでしょうか?

打ち合わせがあったのが、2017年の夏なので、1年くらいかかりましたね。

ドラマの話を聞いていくうちに、「これはありえないくらい人がいっぱい出て来るぞ」と思いました。「あまちゃん」のときは、狭い範囲の中でごちゃごちゃと人がいる感じでしたが、今回は世界規模で人がいっぱい出てくるだろうと。もう素朴に、まずは人がたくさんいて、かつ痛快な音楽を作ろうと思いました。

大河ドラマと連続テレビ小説の違うところは、規模感です。朝ドラの時は、起こっているものごとの中に入って音楽を作っていった感じなんです。でも、ちょっと引いた視点から地球儀を見るみたいな感じで作るのが“大河っぽい”のかなと、今までの大河を見て思ったんですよね。

でも「“大河っぽい”だけではなく、“俺っぽく”するにはどうしたらいいだろう」と考えて、ものすごく人がいるんだけど、ちゃんと一人一人の個性は出せるようにと考えていきました。

もう一つの要素は、前半はずっと走っているドラマだということ。だから、音楽もずっと走っていようと思いました。

途中でゆったりすることなく、ずっとジャンジャカジャンジャカジャンジャカってやってる感じです。

実際の東京オリンピックの会場を見たわけじゃないですが、でも映像に残ってるあの独特の大観衆のイメージにラストをもっていければって思いました。

――確かに、聞いたときにものすごくいろんな音がしました。

すごい数だと思いますよ。1つのマイクに1トラックあるんですけども、最大でそれが700トラックくらいあったみたい。エンジニアの人に「ちゃんと数えてください」って言ったら、「嫌だ」って返されたくらい多い(笑)。

競うわけじゃないですけど、大河史上最大のトラック数なんじゃないでしょうか。

N響(NHK交響楽団)の演奏だけではなく、いろんな顔の方をいれたかったんです。

クラシック、ポップスの方、リズムをやってる方、それにアマチュアのスタッフまで、スタジオにいた全員に「とにかく大きい声で歌ってください」ってリクエストしました。僕の声も入っています。最終的には何人の声が入っているのか分からないくらい(笑)。

それぞれがちゃんと活きているような、N響だけでは決してできないし、アマチュアだけでもできない音楽にしたかったんです。

音楽的な構成としては、最初にファンファーレがあって、その後にギターと鼓。最初は人数が少ないんです。ギターとドラムと鼓とベースの4~5人くらいなんですけど、そこから最後は、のべ300人以上の人が入ってくるという。ばかばかしいくらい人が増えていく構成です。だから、グラフでいうと右肩上がりの高度成長期みたいな感じですね。

――鼓の音も印象的ですね。

今回、プロの鼓奏者の方と、いつもはパーカッションをやってる鼓では素人の方に叩いてもらって、両方混ぜてるんです。

わざと2つ置くようにしています。テーマでもN響とアマチュアの方が混在してますから。