放送中の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。本作では、宮藤官九郎のオリジナル脚本で、日本のスポーツの知られざる歴史を描いている。
第9回(3月3日放送)の終盤のシーンでは、いよいよ日本初のオリンピック出場選手・金栗四三(中村勘九郎)と三島弥彦(生田斗真)がストックホルムに到着した。
2人が出場する1912年のストックホルムオリンピックのシーンは、なんと実際にスウェーデンでロケを行い、撮影されたもの。
今回、「ザテレビジョン」では、現地のロケに参加したキャスト&スタッフのインタビューを紹介。勘九郎を始めとするキャストのマラソン指導を行っている金哲彦に、当時のスタジアムが残るスウェーデンでの撮影の感想などを語ってもらった。
――スウェーデンのロケ現場をご覧になって、驚いたことはありましたか?
一番最初にすごいと思ったのは、100年以上前のオリンピックの時と同じ、レンガ造りの建物がそのまま残っていることです。
でも、今も使っている陸上競技場なので、地面は全天候型(現在のスポーツ競技場に用いられる、どんな気候にも対応するグラウンド)なんです。そこを、当時の競技場に見せるために土を全部かぶせていて、その撮影のこだわりにも驚きました。
CGとかでできそうなのに、ちゃんと土をしいていて、大変だなと思いました。
昔の審判台とかや、小道具も何もかも全部再現していましたね。すごかったです。
ドラマのマラソン指導をやっていなければ、歴史を振り返ることは書物でしかできませんから、こんなに当時に近づけた現場に居合わせることなんてもうありえないことですよね。
現地のエキストラの人に当時の衣装を着てもらっていましたし、実際にそこにいるようなリアルな感覚があって、感動的でした。
――エキストラの方々の指導も金さんがご担当されたとか。
はい。エキストラはほとんどがスウェーデン人で、選手を演じる人は4~50人くらい。若いスポーツをやってそうな方々でした。
助監督が、エキストラの方々にどんなシーンなのかを説明して、走る順番を決めていったんです。僕は、この順位で走る人の走りはこうだなと考えながら指導をしていきました。
当時の選手は、ぺらっぺらの革靴のようなものをはいて走っていたそうで、撮影ではその靴を再現したらしいんです。でも、今の若い人たちは普段ランニングシューズを履いているので、“ランニングシューズを履いている”感じで走っちゃうんですよね。ランニングシューズは、基本的にクッションがあるので、上に弾む走りをしているエキストラの人が多かったんです。
そうすると、絶対に当時とは違う姿になってしまう。中にはとてもマラソン選手に見えないような人もいましたが、そういう人には、「跳ねないように走ってください」と指導しました。そこは一番、伝えるようにしていましたね。
エキストラの皆さんには英語が通じるので、僕からまずは自己紹介をして、テストの時に、400mを一生懸命に走って見せたんです。
おじさんが一生懸命に走ってますから(笑)、みんな拍手してくれましたよ。それで、頑張ろうと思ってくれたんじゃないでしょうか。
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