中村は、「本当にいけないことだと、心の底からなくなったらいいなと思いました。ただ、その中には家庭環境だったり、友人関係からその世界に足を踏み入れてしまっている、大人や子供たちがたくさんいるんだということに驚きました。そして、自分の家庭環境はすごく普通で、そういった誘いをしてくる友人もいなくて、自分の人生のありがたみをより感じることができました」と演じた感想を語る。
さらに、「(特殊詐欺の被害が)増えていく一方で、どうしたらいいのか分かりませんが、この作品が微力ながら世の中の方々の力になれればと思っています」とアピールした。
詐欺の加害者という役柄に出演者たちは苦労することも多かったそう。中村も演技に葛藤があったと言い、「詐欺で稼いだ多額のお金を受け取るシーンでは、撮影中に『俺は間違っているんじゃないか』と迷いながらお金を見詰めてしまったんです。でも、監督からは『ここは、達成感のある気持ちを表現してほしい』と言われました。本当の自分と役が正反対過ぎて難しかったです」とエピソードを明かす。
一方で長村は、アドリブで演じたシーンがあったそうで、「遠山の裁判のシーンで、申し訳なさが本当にあふれてきて、台本にはなかった動きを足したんです。遠山が人として0.2歩くらい進めたシーンになったのかな、と撮影が終わってから思いました」と達成感をにじませる。
高橋は、「実際に、私の役柄を作る上で基になった女の子のアンケートを見せていただいたんです。それはすごく参考にさせていただきました」と言いいつつも、「でも、自分は悪いことをしているという意識があったら、演じることができない役だと思ったので、あまり(アンケートを)読み込んで『悪いこと』という認識にならないようにしていました」と話す。
渡邉には監督から「詐欺のことをあまり勉強せず、台本も読み込まずに演じてほしい」という演技指導があったそうで、「リアルに詐欺をやっている人の演技ができるのか心配になりましたけど、そうではなくて。詐欺をした人も、今の僕と同じ普通の中学生で、オレオレ詐欺に出合ったか出合ってないかの違いだと分かったんです。だから、僕がオレオレ詐欺に出合っていたらどうなったか、ということを考えながら演じていました」と意識していたという。
最後に、渡邉はこの作品について、「僕は、(同じ詐欺の加害者を演じた)高橋さんと長村さんとカラオケに行くシーンとかが撮影していて楽しかったんです。だからこそ、僕もその世界に足を踏み入れていたかもしれないと思った、自分が一番怖くて。“もしかしたら”、誰しもそういうことをやってしまう可能性があるということが怖いなと感じました」と振り返り、締めくくった。
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