皆さんは、第1話の開始1分で泣いたことがあるだろうか。
この物語は、平泉さん演じるマジテックの創業者・藤村が息を引き取ろうとするところから話が始まる。
「さぁ、どんなドラマなのかな~」と思った矢先、早速泣いた。とにかくそのシーンの貫地谷さんの演技が半端ない。「これは、映画のクライマックスシーンなの?」と思うほどに、感動する。
玉木さん演じる芝野は、大手電機メーカーを倒産の危機から見事再生させた手腕を持つ企業再生家。そんな彼の元に、藤村の訃報が届く。
通夜では、芝野に復讐(ふくしゅう)をもくろむ、いわゆる敵役・村尾(眞島)が登場するのだが、この敵役が意外だった。
完成したDVDを見せてもらう前に台本を読んでいたのだが、頭の中で描いていた村尾とは全く違っていたのだ。
「企業買収」や「元銀行員の復讐」と聞くと、“いかにも”な敵役が出てくるのかと勝手に想像していた。
「悪いやつですよ~」と顔に書いてあるような、目をギラつかせ、薄気味悪い笑みを浮かべたような村尾が登場するのかと思いきや、眞島さんはドラマの世界でよく見る“悪役”ではなかった。普通に優しそうで、笑顔も怪しくなくて、そばにいたらたぶん悪い人とは思えない、人間らしい男だ。
そんな、一見「あれ? この人が悪い人?」と思ってしまう村尾だが、とある回想シーンでは、あまりの迫力にゾッとした。そして、なぜか敵役の彼に感情移入してしまい、またもや涙が出た。
また、金髪が印象的な藤村の息子・望。繊細で、不器用な望を演じる戸塚さんがあまりにもハマり役なのだ。彼の心情が痛いほど、こちらに伝わってくる。「君の気持ち、分かるよ」と抱き締めてあげたくなるくらい。
テレビ東京の「ドラマBiz」枠、そして「ハゲタカ」シリーズのスピンオフ作品ということで、難しいビジネス系のドラマなのかと思っていたが、この作品はなんとも親しみやすかった。「自分の親戚の話かしら?」と思ってしまうくらい、この家族が身近に感じられる。
あ~、私もマジテックに入りたい。DVDを見終えたころ、勝手にマジテックの仲間になったつもりになっていた。
文=お杉
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)