<試写室>「スパイラル~町工場の奇跡~」開始1分で思わず涙…町工場の逆転劇が始まる

2019/04/15 20:56 配信

ドラマ

藤村(平泉成)の息子・望(戸塚純貴)(C)テレビ東京


第1話のレビュー!


皆さんは、第1話の開始1分で泣いたことがあるだろうか。

この物語は、平泉さん演じるマジテックの創業者・藤村が息を引き取ろうとするところから話が始まる。

「さぁ、どんなドラマなのかな~」と思った矢先、早速泣いた。とにかくそのシーンの貫地谷さんの演技が半端ない。「これは、映画のクライマックスシーンなの?」と思うほどに、感動する。

玉木さん演じる芝野は、大手電機メーカーを倒産の危機から見事再生させた手腕を持つ企業再生家。そんな彼の元に、藤村の訃報が届く。

通夜では、芝野に復讐(ふくしゅう)をもくろむ、いわゆる敵役・村尾(眞島)が登場するのだが、この敵役が意外だった。

完成したDVDを見せてもらう前に台本を読んでいたのだが、頭の中で描いていた村尾とは全く違っていたのだ。

「企業買収」や「元銀行員の復讐」と聞くと、“いかにも”な敵役が出てくるのかと勝手に想像していた。

「悪いやつですよ~」と顔に書いてあるような、目をギラつかせ、薄気味悪い笑みを浮かべたような村尾が登場するのかと思いきや、眞島さんはドラマの世界でよく見る“悪役”ではなかった。普通に優しそうで、笑顔も怪しくなくて、そばにいたらたぶん悪い人とは思えない、人間らしい男だ。

そんな、一見「あれ? この人が悪い人?」と思ってしまう村尾だが、とある回想シーンでは、あまりの迫力にゾッとした。そして、なぜか敵役の彼に感情移入してしまい、またもや涙が出た。

また、金髪が印象的な藤村の息子・望。繊細で、不器用な望を演じる戸塚さんがあまりにもハマり役なのだ。彼の心情が痛いほど、こちらに伝わってくる。「君の気持ち、分かるよ」と抱き締めてあげたくなるくらい。

テレビ東京の「ドラマBiz」枠、そして「ハゲタカ」シリーズのスピンオフ作品ということで、難しいビジネス系のドラマなのかと思っていたが、この作品はなんとも親しみやすかった。「自分の親戚の話かしら?」と思ってしまうくらい、この家族が身近に感じられる。

あ~、私もマジテックに入りたい。DVDを見終えたころ、勝手にマジテックの仲間になったつもりになっていた。

文=お杉