――佐藤さんの言葉に深く頷いていましたが…。
上川:欠落として捉えるかどうかは別にして、西園寺の思いのかたくなさっていうのは逆に申し上げるならば、柔軟性の欠如でもあるわけです。それは例えば、欠落と捉えてもらうことも不可能ではない受け止め方でしょう。
西園寺の行動が共演している二朗さんにもくみ取り切れないという思いは演じている僕も感じています。
でも、「西園寺はこういう人間です」というような決まりきったPROFILEを押し付ける必要すらないんじゃないかと思っています。その余白は演者としては面白味でもあるんです。
佐藤:今、上川さんのお話を伺っていて、西園寺という人は柔軟性が欠如していて、常軌を逸しているようなところが愛されているんだろうなって感じた場面があったことを思い出したんですよ。でも、どの回だったか忘れてしまいました。第1話だったかな?
上川:今回の1話?
佐藤:あ、違います。シーズン1のどこかだと思います。完璧じゃないから愛されるんですよねといった話を上川さんとした記憶があるんですよね。
上川:どの回でしょうか? 前作の1話はお菓子のコンテストの話でした。
佐藤:じゃあ、違います。う~ん、思い出せない(笑)。
――誰がゲスト出演した回ですか?
佐藤:それも出てこない(笑)。奥さまを守るために一直線な動きをした西園寺の姿に「おぉっ!」ってなったんですよ。
――何かヒントがあればいいんですけど…。
佐藤:あっ、思い出した!
上川:何ですか?
佐藤:奥さまと、ゲストの田中美奈子さんが演じた外科医が縄で縛られて人質に取られているシーンです。西園寺が助けに来たんですけど、奥さまの縄だけほどいて外科医はそのまま。
それをOAで見て思わず笑っちゃったんですよ。普通の人間だったら、もう一人の縄もほどくじゃないですか(笑)。
上川:はい(笑)。
佐藤:ただ奥さまを守りたいというそのかたくなさはすごいなと。人としてどこか欠落しているんだけど、そこが西園寺の魅力なんでしょうねっていう話を上川さんにしたんですよ。あ~、良かったぁ、思い出して(笑)。
――(笑)。お二人は誕生日が一緒ということで、2018年に撮影現場でお祝いされたとき、上川さんが「二朗さんにはシンパシーを感じます」とコメントしていたんですが、どの辺に近しいものを感じていますか?
上川:シンパシーと憧れの両方の目で見ています。そもそも同じ誕生日の方と仕事をご一緒する機会はとても少ないので、その1点において、すでにシンパシーを感じています。
一方で今、ずっとお話を伺っていて思ったのは、よく周りをご覧になっていて、ほんの小さな出来事を笑いに昇華していける。そうした目端の情報の捉え方や調理の仕方に感心させられます。僕にはできないことなんです。そういう感性に対しては純粋に憧れます。
佐藤:恐れ入ります…(笑)。
上川:僕はエピソードの調理ができないんです。そのままお伝えするだけで、何の面白味も加味できないということが歯がゆいばかり。そういうところは、本当に尊敬しています。
佐藤:お芝居をする上で、割と“合う、合わない”ってあったりするんですよ。
劇中では犬猿の仲のような関係ですけど、上川さんは非常に信頼できる共演者なんです。そこが一番大きいですね。安心感があります。
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