ドイツにこの作品で撮影に来られたことはうれしかったです。ドイツでのシーンは財前にとっても、「教授選を終え、海外に呼ばれて行く」という一番ギラギラしている、言わば全盛期のような時期。ドイツに学会とオペで招待されるのは栄誉なことなので、その背景も踏まえてロケに臨みました。
実は東京でほとんどの撮影を終えてこちらに来たので、ちょっとご褒美のような感じだったんです(笑)。日本のクルーとして初めてハイデルベルク城で撮影をしたのですが、すごく趣があっていい雰囲気でした。
あらためて財前というのは、魅力的な役だと思います。最も勢いのあるところから追い込まれていくところまである、濃厚な人物。「白い巨塔」という名作に挑もうとする監督・スタッフの気持ちが強いので、戦いがいのある財前という役を味わい尽くそうと思って現場に入っていました。
現代版の「白い巨塔」を作る意味、財前五郎を演じる意味、そして山崎豊子さんが描く人間ドラマを、どう現代に落とし込んでいけるかを考えながらの数カ月間だったように思います。現代の巨大な権力争いの中で、そこを這い上がっていこうとする高い志を持った財前。志強くあがいていく男をどう見せるか、人間の面白みを感じました。
相手をおもんぱかることが当たり前の時代に、ギラギラと権力を手に入れようとした財前は魅力のある男だと思います。「白い巨塔」の財前五郎という役のオファーをいただけることを想像もしていなかったので、自分にとってもチャンスでやりがいのある役でした。
ドラマのクライマックスとなるシーンを撮影している時、現場で監督をはじめスタッフの方々が泣いてくれたんです。財前は嫌な男に見えるように演じてきたのですが、たとえそんな男でも、スタッフが愛情を持って一緒に役柄を作ってくれたことに感激しました。
ドイツ語は現地で通訳の方に教えてもらいながら少し練習をしました。ドイツの俳優の皆さんともご一緒しましたが、言葉が分からない中でもお互いにコミュニケーションを取りながらお芝居ができて、とても楽しかったです!
ドイツには大迫勇也選手や長谷部誠選手のように活躍しているサッカー選手がたくさんいますよね。大迫選手といえば「ハンパないって」ですが、今回の「白い巨塔」も「ハンパないって」と言ってもらえたらいいですね! どんなふうに現代版にアレンジされているか、ぜひ見ていただけたらと思います。
日本の作品のクオリティーも世界基準を目指していくのが理想的だと思っていますし、そういう意味でも国内外問わず仕事をしていきたいと思っています。
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