――本作は、被害者遺族の立場が描かれていてリアルな側面もあります。演じる“責任”の部分も生じてくると思いますが、その辺りはどう考えてらっしゃいますか?
東出:クランクイン前に、被害者側・加害者側で書かれているノンフィクションやルポルタージュをたくさん読みました。実際の遺族にお会いして話を聞くことはできませんが、だからと言って「そういう方々がいる」って事実も知らないで、安穏と作っちゃいけない題材だと思ったので、頭の片隅に置いて芝居をしていました。
ただ前半で「復讐の鬼」の芝居が続いた時に、監督が「日常もないとお客さんの息が詰まるし、今後は日常も撮っていこう」っておっしゃって。「確かにそうだな」って思う部分もありました。
――東出さんは探偵事務所の所長・木暮正人役の松重豊さんとは初共演だそうですね。どんな印象を持たれましたか?
東出:「すっごくお上手な人だな」って(笑)。
瀬々:わははは。
東出:「やっぱり先輩はすごいな」って思いました。木暮ってとぼけているところがあって、そういうお芝居が続いたんですけど、ある日、橋の上で向かい合うシーンがあったんです。そこで見つめあった時に心臓を殴りに来るような熱があったので、佐伯として受け止めはしたんですけど…なんかズルいなって(笑)。尊敬の意味も込めて「ずるいしうまいな」と思いました。
――地上波とも映画とも違う、WOWOWのドラマ「悪党」の魅力とは何ですか?
瀬々:全6話で、それぞれゲスト回があって、ゲストの話の横軸と、東出君が抱える大きな事件の縦軸が続いているところに魅力がありますね。そこでどう佐伯が変わっていくのか…罪を抱えている中で、人々がどう生きていくのか、どう死んでいくのか、人間ドラマを伝えられたらなと思います。
――東出さんにとって連続ドラマ初主演作となった「悪党」。最後に見どころを教えてください。
東出:打ち上げの席で「初主演」と言われて、「ああそうだったんだ」って思ったほどで、この作品に入る前も終わった後も気負いみたいなものはありませんでした。あるとすれば、瀬々監督と一緒にできるということだけです。撮影中も混沌(こんとん)の中にいたので、完成の想像はできないんですけど(※本作完成前に取材)、俳優部が没入している姿がカメラに映っているし、ドキュメンタリーにも見える作品になっていると思います。
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