――どのようにして口説き落とされたんですか?
高嶋:昨年の年末にお食事にお誘いして、「せっかくなので奥さまもご一緒にどうですか?」「せっかくなのでうちの家の近くのおいしいレストランに行きませんか?」「だったらせっかくなのでちょっと読み合わせしてみませんか?」と蟻地獄のように計画的に進めまして。
その時に奥さまの佳美さんの声に一目惚れならぬ一声惚れをしまして、リーディングセッションを3人でやってみませんかと、お断りできない状況を作った上で今回に持っていきました(笑)。
――加藤さんはその時のことを振り返っていかがですか?
加藤:実は読み合わせの前にホテルにこもって1週間くらい一人で練習していました(笑)。とにかく途切れずに読めるようにしようと思って。その後に読み合わせで妻の存在を気に入っていただいて、3人でやることになりました。
経験がないので、まだ、どんなふうになるのか想像がつかないんですが、今まで足を踏み込んだことのない世界に行くので、冒険心というかワクワク感があってしびれています。
それと25年越しの朗読劇をやらせていただくことに、先ほどもありましたキャッチフレーズ「信じていましたビックリマーク」。本当に楽しみです。
――独特な世界観のある作品ですが、この作品を選んだ理由は?
高嶋:楽しいところです! 掛け合いとかシチュエーションが、別役先生の中でも楽しい作品なんですよ。
そして、非常にダークでブラックなところもあるのですが、僕は加藤さんが男役を読んでいる姿がありありと頭の中に浮かんできたので、選ばせていただきました。
――どんなふうに演じていきたいですか?
加藤:台本を通してお客さまにドラマを組み立ててもらうような渡し方をできればいいのかなって思ってるんですよ。
いろんな枝葉を付けて演じていくんじゃなくて、自分というものをどんどんそぎ落として、最後に言葉の中に生きるものが、お客様の中に組み立てられる材料として届けばいいのかなって。
全部そぎ落として最後に何が残るのかは、今の僕の楽しみの一つですし、これがどういうふうに最終的に作り上がっていくのかがこれからの楽しみです。
高嶋:聞いてるお客さんは、犯人を取り調べする刑事みたいにじっと見ている人もいれば、目をつぶったり、下を向いたり、いろんな方がいらっしゃるんですよね。
100人いたら100人とも全然違うものを感じていると思うので、作品のイメージを限定させることなくある程度委ねて、お客さんが膨らませていくようなアプローチの仕方をしたいですね。
また、今回は「湯たんぽを持った脱獄囚」の前に、私が書いた初のオリジナル短編「ちょっとした刺し傷」も朗読致します。
この作品は30年以上前に僕が経験したことをモチーフに、僕自身の私的な考察を加えたもので、友達の芥川賞作家・川上未映子さんからもお墨付きをもらえた作品なんです(笑)。
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