――このシリーズは芝居の中で芝居をするという難しい設定です。気を付けている部分はありますか?
山崎:劇中劇は劇中劇なんですけど、この作品の設定の上でとてもいいのが、“史上最低の素人劇団”ということなんです。ありがちなんですけど、劇中劇をやると“わざと下手にやる”ということが多いんですけど、あれって見ていて寒々しいな…って。なんで下手に演じるんだろう? 一生懸命やれば良いのに、違った顔を劇中劇と違うところでやればいいのにと思っていたんです。
ただ、この人たちはどちらも一生懸命なんですよ。だから、最終的に劇中劇も劇(そのもの)も、役としてのキャラクターも全部、一緒でいいんですよね。なので、最初はそういうロジックがあるんですけど、それがだんだん見ていて分からなくなるという。役を見ているのか、本人を見ているのか、それとも個人を見ているのか、分からなくなるというのが一番いいと思うんです。
この作品は、放っておいてもそうなる仕組みになっているので、この舞台は汗だくになって、一生懸命やるしかないんですよね。なので、気を付けなくても大丈夫だと思っています。
――それでは、今作でここを見てほしいというところを教えてください。
山崎:見どころは本当に難しいんです。いかんせん内容がないので(笑)。ストーリーなんて正直あってないようなものですから。どの部分が見どころというよりは、全体を通して必死に頑張っている愚かな人たちを見て笑ってほしいですね。愚か者って見ていたら楽しいじゃないですか。
僕がこの芝居でお客さんに何かメッセージを伝えるとするならば、「あなたも大変かもしれないけど、下には下がいるんですから大丈夫ですよ」ということです。勇気や元気を与えようなんていう、おこがましいことは思っていないんですけど、この作品を見ている90分間は日常を忘れていただけたらな、と思っています。
――最後に読者の方へメッセージをお願いします。
前島:私自身、本当に楽しみにしています。人気シリーズなので、続編をお待ちになっていた方もたくさんいらっしゃると思いますし、全国各地で上演できるということなので、一人でも多くの方に来ていただけたらと思います。
シリーズファンの皆さまにも、初見の皆さまにも受け入れていただけるように、一登場人物として頑張りたいと思っていますので、よろしくお願いします。
山崎:僕は常々、こういったエンターテインメントは“風邪薬”でしかないと思っていて、誰かの人生を変えたり、悩みを根本的に解決したりとかはできるわけがないんです。ただ、来ていただいた時間だけは、その症状を和らげてあげることができる“風邪薬”だと思っています。
なので、その時間だけでも普段のことを忘れて、ただただ何も考えずにお腹から笑っていただける作品を全力で演じていきますので、劇場に来ていただきたいと思っております。
2016年4月~5月に第1弾となる「九条丸家の殺人事件」を初上演。毎公演、物語と共にステージセット、出演者が激しく崩壊していくという奇想天外な演出に、開幕と同時に口コミで話題となった衝撃の喜劇。
2017年4月~5月には、作品内で主演・山崎が座長を務める劇団「荻窪遊々演劇社」が新たな演目を上演するというオリジナル続編「リメンバーミー」を上演した。
そして、2019年10月~11月にあの「荻窪遊々演劇社」が帰ってくる。待望の“崩壊シリーズ”最新作「派」でも、観客は再びリアルタイムで巻き起こる“崩壊”の悲劇(喜劇?)を目撃することになる。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)