――金栗四三さんの人物像はどのように作っていったんでしょうか?
井上:いろいろ資料がある中からいろいろ推測していくんですけど、このドラマの特色でいえば娘さんにお話を聞くことができたということです。それに、ビデオも残っている。
あとは、新聞に掲載された記事などで、ユニークなことをお話している記録が残っているので、そういうところから膨らませていきました。
――個人的には、四三さんはすごくかわいらしい人に見えるんですが、そういう見え方を皆さんも意識していたんでしょうか?
一木:私も、かわいらしい人でいてほしいと思っていました。
四三さんって本当に無垢な人なんですけど、その面だけでは現実味がなくて、もちろん野心も向上心なども持っていて、知的な方でもあります。それを全てをひっくるめて、キュートに見えるのが一番大事なことなんじゃないかなって思ったんです。それに、かわいらしさっていうものは、演じている勘九郎さんの持ち味でもありますよね。
井上:勘九郎さんは実際に金栗四三さんの娘さんたちに会った時に「お父さんが帰ってきたみたい!」っていうことを言われて、すごく感動してましたね。その時からスイッチが入っていったように思います。
西村:他の大河ドラマだったら、武将になるために策士な一面を見せたりすることがあると思うんですけど、四三さんただただ“走る”っていうことしかしない(笑)。
僕たちが想像できないことにまっしぐらになっている様が、バカにも見えるけれど、とてもピュアにかわいらしく見えるといいなと思いながらやっていますね。
そんな人が、今では僕たちの中でポピュラーになっているマラソンを作ってきているっていうことが心を打つような気がしています。
そういえば、ある時期勘九郎さんがトレーニングを重ねていって、身体もどんどん磨かれていって、僕らも惚れ惚れしていったのですが、はたと立ち返り、「それができるだけストイックすぎには見えないようにしたいね」っていう話はしたことがありますね。とにかく台本にもあるように「走りたくて走っている人」にしたいという思いがあったので。
一木:あんまり苦労してる人には見えてほしくなかったんですよね。
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