若かりし頃の吉川晃司もカッコいい! デビュー間もない頃の主演3部作で振り返る<ザテレビジョン シネマ部コラム>

2019/08/06 07:00 配信

映画

『テイク・イット・イージー』 (C)1986 渡辺プロダクション


3部作最終章「テイク・イット・イージー」は、世界進出を望むなかで北方への旅に出た裕司が、才能豊かな女性ミュージシャン(名取裕子)と運命的に出会い、やがて大きな転機を迎える無国籍風ウエスタン(実際の舞台は北海道)。前作から1年で急に大人びた吉川の存在感が、この作品では西部劇のヒーロー的な役割を果たす裕司役にピッタリである。

ここでも吉川は、走行中のバスや列車によじ登って車内や貨車上に乗り込むなどの軽業師的なアクションから、火山の斜面を滑り落ちたり、高い崖から滝つぼにダイブして流れの早い川を泳ぐなど、無謀と思えるスタントまでこなしている。

『テイク・イット・イージー』(C)1986 渡辺プロダクション


そして、ストーリーは終盤で(激しい銃撃戦にUFOまで出現するという)思わぬ方向に展開し、吉川晃司が作詞・作曲の両方を手掛けた初の楽曲で主題歌でもある「MODERNTIME」のPVへとつながっていく。NYの街を歩く“吉川晃司”は、世界進出の夢を叶えた“民川裕司”なのか?吉川本人の意向で脚本が変更されたそうだが、ちょっと不思議なフィナーレである。

この民川裕司3部作は(ファンクラブ特別受注生産以外は)未だにDVD&ブルーレイ化されておらず、今回の放送は貴重なチャンス。少々フェミニンな王子様タイプの男性アイドルが多かった80年代、クールでロックで長身の吉川晃司が異質のアイドルだったこと。デビューからの3年間で、今に通じるスタイルが早くも確立されていたこと。そうしたところにも注目してほしい。

文=橋本真奈美


情報誌の編集を経てフリーライターに。雑誌、WEB等で映画紹介やインタビュー記事を執筆中。リアリティー番組も好きで「プロジェクト・ランウェイ」のファン。