ドラマ24「きのう何食べた?」(テレビ東京系)で弁護士の“シロさん”こと筧史朗(西島秀俊)と同棲している、美容師の“ケンジ”こと矢吹賢二を演じ、漫画家・よしながふみによる原作のイメージどおりだと絶賛された内野聖陽。その演技で新境地を見せ、第101回ザテレビョンドラマアカデミー賞・主演男優賞を受賞した彼が、作品の魅力などについて語ってくれた。
――本作で初の主演男優賞を獲得されました。ご感想をお聞かせください。
本当に素晴らしい作品に出会えた上に、こんな賞までいただいて、とてもうれしい気持ちです。もともと原作漫画が話題作で、たくさんのファンがいらして、放送前からいろんなうわさも流れ…(笑)。いろいろな重圧がある中でやらなきゃいけない緊張感もありましたが、西島秀俊さんほかキャストの皆さんと、監督たちスタッフさんが、スケジュールもハードな中、ベストを尽くしてくれたと思います。男性同士のカップルの話であることをはじめ、僕自身、いろんな意味でこの作品に関わって教えられたところがあります。
――原作ファンからも「ケンジそのものだった」「かわいらしい仕草や動きがケンジらしかった」と絶賛されましたが、原作を読んでケンジをどう演じようと思いましたか?
まずビジュアルから原作のイメージを裏切らないようにしたかったけれど、原作のケンジはやっぱり女性の漫画家さんが描いたキャラクターなので、とてもシュッとしている(笑)。100%似せることは無理なので「ごめんなさい、原作ファンの方々」と思いました。でも、いざ蓋を開けてみたら、多くの人に「漫画にそっくり」と言われてびっくりしました。そう思っていただけたのは、スタッフの力が大きいんですよね。クランクイン前に番組ポスターを撮ったとき、僕はまだ前の仕事で違う役を演じていたのですが、スタッフさんがケンジらしいメガネや衣装を集めてくれて、あのビジュアルになりました。その現場には原作のよしながふみ先生も来てくださって「ばっちりです!」と言ってくださったので、ちょっと調子に乗りましたね(笑)。
――ドラマでは刑事役や医師役、戦国武将を演じてきた硬派なイメージの内野さんが“乙女”なケンジを演じるというギャップもありました。
撮影が始まった頃は、自分としても不安がありました。途中で「俺の思うケンジを演じよう」と開き直ってからは気持ちが楽になりましたけれど。とにかく西島さんが僕のケンジを楽しみにしてくれて、2人でセッションするのが楽しかったですね。ケンジとはどんな人物かと考えると、そもそも居候じゃないですか。お金に無頓着で貯金もしない人が、高収入の弁護士であるシロさんの家に転がり込んできた。そんなケンジにシロさんが「居ていいよ」と言うということは、シロさんにとってケンジは精神的に大切な存在なんだと思っていました。例えば、ケンジがシロさんの料理を本心からおいしそうに食べるとか、職場でカミングアウトしていないシロさんがいろんな葛藤を抱えてズタボロになって帰ってくるとき、おおらかな心で受け止めてあげるとか、そのあたりはシロさんよりもケンジのほうが大人。原作でもそんな関係性が描かれているんじゃないかと思って、そこをうまく出したいと考えました。
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