――実在した人物を演じることで、研究はされましたか?
小笠原:燕枝に関しては、調べてもほとんど出てこない。資料があったら、ちょっと読みたいなって思ったかもしれないけど、台本も全然関係なく書いたっていうから。
――台本の人物造形のままに演じたと?
小笠原:そうですね。本当にダメなやつで、ダメなやつが人に影響を与えるって何だろう、そんな男が人から影響を受けて成長するというのはどういうことだろうとすごく考えました。あと、落語はたくさん聞きましたよ。
――落語家を演じることは、他の役とは異なる部分はありますか?
小笠原:それはないかな。しゃべることも好きなんで。落語を覚えて噺家の人と二人で落語会をやったこともあるんです。その噺家さんは、演劇の人は演劇の人の話し方でやればいい、演劇の落語を君はやったらいいと思うよ、と言ってくれて。今回も、僕のしゃべり方で、演劇として落語をやっています。
――余談になりますが落語をやった時の高座名は?
小笠原:高座名は・・(笑)。ずっと世話になってるバーの名前が「にゃらんご」っていうんですが、「にゃらんご亭大大」という高座名でした(笑)。
――酒井さんは松陰の逸話を意識されましたか?
酒井:私は実在の松陰をめちゃめちゃ意識しましたよ。「竜馬がゆく」とか、司馬遼太郎を読んでる時期があって。でも吉田松陰は避けていたところがあったんです。今回、ちょうどいいやと思って、いろいろと調べました。
ドラマ「花燃ゆ」を見て、大春さんに関連の本を借りて、漫画の「お~い!竜馬」を読み、山岡荘八を読み、司馬遼太郎の「世に棲む日日」も読んで、調べられるだけ調べた。松陰の遺書とされる「留魂録」も全部読みました。
「留魂録」は壮大なことから細かいことまで書かれていて、筆まめな人だなと思いました。演出からも言われてるんですけど、言葉の人、言葉の秀才。言葉を使って自分の思いを伝える術を持っていた。
――井上さんはいかがですか。
井上:僕の場合はすぐキャラクターをまねちゃったりする癖もあるんですが、資料的な部分に関しては、今に伝わる記録の奥にどういう物語があって、結果こうなったのかっていうところが知りたいんですね。
今回描かれていないところも、彼がどうして横のつながりを持とうとしたか、どういう生き方をしようとしたか、どういう風に世の中を変えていこうとしたのか、どういう過程で自殺したのかなど、大きな事件をある程度調べて、その情報から徐々に落としていく作業はしました。思っていたより過激な人だったなという印象です。
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