――その「北海道に帰ってくる」主人公が女性であるという点も、これまでの品川監督作品からすると、少し意外な気がします。
品川祐:あ、言われてみればそうですね。う~ん、何となくですけど、男の人だと、いい意味でも悪い意味でも必死になって頑張っちゃうから、その分、失敗したらボッキリ心が折れちゃうんじゃないかと思うんですよね。今回は、東京で挫折したヒロインが下川町に帰ってきて、やがて前向きな心を取り戻して再起するというストーリーですけど、もしこれが男だったら、そのまま地元に根を下ろして、例えば林業の仕事を始めたりして、新しい生きがいを見つける…みたいな、全く別の話になったんじゃないかと思います。
――東京で生まれ育った品川さんですが、下川町のような自然に囲まれた“ふるさと”への憧れはあるんでしょうか。
品川:うん、お盆の時期に生まれ故郷に帰ったりだとか、田舎の縁側がある広い実家だとか、そういうのはうらやましいなって思います。子供の頃、親戚のおばちゃんの家へ行くと、そんな感じは多少味わえましたけど。そういう意味で言うと、下川町は、まさに「自分もこういうところで生まれたかったなぁ」と思える町ですよ。
東京で生まれたことへのコンプレックス…って言ったら大げさですけど、東京の出身って寂しいなって思うことも時々あって。道民会とか九州会とか、同郷の出身者のグループってあるじゃないですか。そりゃ北海道で生まれ育った人同士で話したら楽しいだろうけど、東京出身の人間が集まったところで、大して盛り上がらないですから。世田谷出身とか渋谷出身とか、区が一緒でも、まだ弱い(笑)。せめて、同じ中学とか同じ高校とかじゃないとね。
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