菅野美穂、23歳の頃は「仕事は途切れなく続けるものだと思っていました(笑)」“仕事観”に変化も<Interview>

2019/10/25 07:00 配信

映画 インタビュー

菅野美穂が吹き替えたメアリー・エリザベス・ウィンステッド(C) 2019 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.


全身のエネルギーを声に凝縮


――菅野さんはすでに2018年公開のアニメ「ベイマックス」で吹き替えをなさっていましたが、実写版での吹き替えは今回が初めてですよね。

「ベイマックス」の時は「セリフを言う」というよりも、「歌を歌うような感じ」でした。「一音一音を息ではなく、音でください」という要求があったりとか、とにかく言葉をしっかりと、一音も捨てずに表現するんだと。

今回はもうちょっと、しゃべる感覚に近いようなセリフでOKが出ましたね。

声だけの演技は、全身のエネルギーを声に凝縮しなければいけない。普段は手ぶりとか、目線とか、総合して行う表現を、声という一箇所にストイックなまでに集中させる。

江原正士さん、山寺宏一さんという素晴らしいお二人と吹き替えができたのも勉強になりました。

――菅野さんにとって、洋画の吹き替えならではの魅力は?

この作品に関して言うなら、やっぱりアクションが大きな魅力です。吹き替えですと、そこに字幕がかぶることなく、日本語の音声がそのまま耳に入ってくるので、よりアクションに集中して楽しめます。

吹き替えにすることで、字幕を追う必要がなくなり、子どもたちにも見てもらいやすい感じになっていると思います。

より一層、現在のウィルと過去のウィルの対立というユニークな世界観に入っていけるのではないでしょうか。

――この映画に登場する“過去のウィル”は23歳という設定です。菅野さんがテレビドラマ「愛をください」(2000年、フジテレビ系)に出演なさっていた頃と同じ年代です。その頃と現在とで変わったなと思うところ、特にお芝居への向き合い方という意味で変わった点などをお教えください。

とにかく毎日が必死だった、ということは覚えています。仕事は途切れなく続けるものだと思っていました(笑)。役のことばかり考えて、それが終わると次の役について考えて。

楽しい時期でもあったし、経験や失敗を重ねた時期でもあったし、現場に出ることが勉強でした。

若さや勢いというものはいつか失うもので、それは時間の経過と引き換えなんだなと実感します。

でも、年を取れば取るほど仕事に対する気持ちが身軽になっているようにも感じますね。

――痛快なアクションや熱い友情の中に、つい自分自身の人生を内省せずにはいられないような、そんな深みも「ジェミニマン」には感じます。

いまは人生100年時代と言われています。なんだかんだいっても、若い頃にやり残したことは絶対にあります。

この映画は、登場人物を自分に置き換えて、自分の人生を考え直したりできるすごく面白い作品だと思いますし、もちろん純粋に今のウィルと過去のウィルが対決するという、これまでになかった映画の体験もすることができます。

とても迫力のある作品なので、ぜひ劇場でご覧いただきたいと思います。

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