途中から進行を引き受けた映画評論家の佐藤忠男氏は「西日本豪雨直後、山田洋次監督と犬童一心監督とこの作品の撮影スタジオを訪れたら、すごい暑い中で誰かがターザンしている場面を撮っていて、次に大林監督がピアノを弾き出したから『休憩かな?』と思ったらそれも撮っていて、次に兵隊が血しぶきを上げて斬られ出したから、山田洋次監督も『これはどういう映画?』と耳打ちしてきた(笑)」と裏話を。
常磐は「走馬灯というものは、その人にしか、しかもギリギリのところでしか見られないと言うけれど、サービス精神旺盛で周りのネタをすべて映画にしてしまう監督は、一足先にこうして私たちにも見せてくれました。
こんな映画は史上初だと思う。そして私は確信してるんですけど、本当に監督が見る走馬灯もこれだと思うんです!」と明るく語り、監督は「当たり~!」と笑顔で応えた。
「『花筐』(2017年)のとき、山田洋次監督に『この映画はサヨナラホームラン』と言われたけど、今回は『場外ホームランだ。監督にはこれで終わりというものがない、進化している』とお褒めの言葉を頂きました」という大林監督は、Q&Aで外国人男性から「いつまで作るつもりか」と問われると「未来のことは分からないけど、人間にはまだやったことないことの方が多いから、これから3000年は作らなきゃいけないね」と再び飄々と回答。
さらに「あの戦争を知っている私が知らない人たちに、ハラハラドキドキの作品を届けていきたい。観客が動かないと変わりませんよ、それが映画の力です。自由を守るってとても難しいことですが、やり遂げなければなりません。
黒澤(明)さんは『戦争は明日にでも起こせるけど、平和にするには400年かかる。僕はここまでやったよ、続きを頼む』と言われました。映画は素晴らしい、本当にありがとう!」と続けた。
「映画は学校」と常々語る大林“校長先生”の“生徒”たちは、「ミュージカル、アクション、方言を使う役にいつかチャレンジしたいと思っていたけど、監督がこの映画で全部かなえてくれました。今度は監督の夢がかなうといいなと思っています」(山崎)、「学校で学べない戦争の話をすごく学ばせていただいたので、とてもいい教材だと思いました。たくさんの人に見てもらいたいです」(吉田)と感謝していた。
“校長先生”は進行を無視して1人1人温かいコメントを送り、登壇せずに会場にいるスタッフにも次々と呼び掛けた上で「これから頑張りましょうね」と感謝の言葉を送っていた。
映画「海辺の映画館―キネマの玉手箱」は2020年4月公開。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)