稲垣吾郎と二階堂ふみが主演を務める映画「ばるぼら」の記者会見が11月3日、「第32回東京国際映画祭」を開催中の東京・六本木で行われ、手塚眞監督が登壇。
「今日は手塚治虫の誕生日です。生きていれば91歳になります。この日にこの映画を上映できたことをうれしく思います」と、父・手塚治虫氏の禁断の衝撃作を映画化した思いと、全裸やラブシーンの多い本作を受けた稲垣と二階堂への思いを語った。
手塚治虫氏が1973年からビッグコミックで連載した「ばるぼら」は、芸術とエロス、スキャンダル、オカルティズムなどさまざまなタブーに挑んだミステリーの問題作。
異常性欲に悩む耽美派の人気小説家・美倉洋介(稲垣)は、新宿駅の片隅で酔っ払ったホームレス少女・ばるぼら(二階堂)と出会い、自宅に連れて帰る。
自堕落だが奇妙な魅力を持つ彼女を近くに置いておくと、美倉は不思議と創作意欲にあふれ出すが…。
映像化不可能とも言われた独特の世界観を、手塚眞が日本・イギリス・ドイツとの合作で映画化。撮影監督はクリストファー・ドイルが務めている。
この大人向け漫画の載った「普通そのくらいの子どもは読んではいけない雑誌」を、10歳から「父の仕事として自宅に置いてあった」ためにいつも読み、「もしかしたら『鉄腕アトム』や『ブラックジャック』よりも印象的だったかもしれません」という手塚監督。
30年前、父が亡くなったときは父の作品を映画化しようと考えたこともなかったが、映画監督のキャリアを積むにつれ「いつかそういう日がくるのかも」と考えるようになり、そのとき浮かんだ作品の1つが「ばるぼら」だったという。
実際には6年前から動き出したが、困難も多く、キャスティングは難航。「ご存知の通り、日本の俳優は裸体に対してシャイな方が多く、脚本を見ただけで多くの方に断られました。稲垣さん、二階堂さんも気にはされたと思いますが、作品の持つ意義と、誰が作るかということを理解してやってくれたんだと思います」と語り、「彼らが素晴らしいのは、受けた後はそれに対して全く躊躇(ちゅうちょ)がなかったということ。
センシティブなシーンの撮影が多かったけど、何の躊躇もなく全部自分でやってくれたので、演出的にはとても楽をしました。何のトラブルも無粋な要求もなく、ベッドの上の2人にスタートと掛けるだけでよかったのですから。見とれてカットを掛け忘れることもありました」と褒めたたえた。
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