――総監督の佐渡裕さんとは、何かお話をされましたか。
粗品:一度お会いしたとき、そこで朗読のオファーを頂いたんですけど、とても気さくな方で。ドキュメンタリー番組で密着映像なんかを拝見して、チャーミングな方やなとは思っていたんですが、実際にお会いしても、自然に懐を開いてくれる、心優しい方でした。「第九」への思いとか、クラシックの話とか、いろんなお話をさせていただいて、夢のような時間でしたね。
実は僕、芸人を目指す前は、指揮者を目指してまして。実際、学生時代に指揮の勉強もしてたんです。その中で佐渡先生の存在を知って、それ以来、ほんまに憧れていて。指揮者の中で一番好きな人が佐渡先生なんです。
――そもそも、クラシック音楽が好きになったきっかけは?
粗品:誰でも、自分が知ってる曲を聴くと気持ちが上がりますよね? それがクラシックだと、「第九」もそうですけど、聴きなじみがある部分がたくさんあるんです。僕の場合は、それが面白くてハマりましたね。
――では、「第九」という作品の魅力とは?
粗品:パワー、ですね。メロディーはすごく単純じゃないですか、「かえるのうた(かえるの合唱)」みたいに、音階が上がっていって、また下がって、という感じで。それでも他のクラシックの曲と明らかに違うのは、音が少ないはずやのに厚みを感じさせるところ。そこは「第九」の旋律が持っている意味やと思うんですけど。
――漫才とクラシック音楽、共通点はあるのでしょうか?
粗品:ありますね。僕らの漫才って、相方のせいやが舞台の上をめちゃくちゃ動き回るんです。その中で、相方がどこにいても、僕が舞台の真ん中のセンターマイクの前でツッコミを入れるっていうのは、どこかクラシックの指揮者へのリスペクトの気持ちもあって。あくまでも僕の中で、ですけどね。
あと、僕の、手を前に出しながらツッコむっていう形も、指揮でやっててもおかしくはないのかなと。(ツッコミのポーズをしながら)「バイオリン、もっとちょうだい!」みたいに、求める感じで(笑)。
間合いとかリズム感も、共通しているかもしれませんね。「あともう1拍置いてからツッコんだ方がええんちゃうか」とか。そのへんは、うちの場合、他のコンビよりも細かく話し合ってると思います。
――なお今回、トークゲストとして、相方のせいやさんと一緒にコンビで出演されるそうですね。
粗品:はい。でも、詩の朗読は僕一人でやらせてもらいます。というか、朗読してるときは相方には絶対に横にいてほしくないです(笑)。ただ、「第九」の大合唱は、せいやにもぜひ体験してもらいたいですね。絶対感動すると思うんで。
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