――テーマが決定してからの動きで苦労は?
佐々木:上映にもっていくまで、学生が一人一本ずつ担当して、交渉を進めます。上映できる素材探しから、映画会社との交渉まで。自分は「破天荒ボクサー」が担当でしたが、途中で「ザ・ビッグハウス」をやろうと決まって自分の担当が2作品になり、代表として全体を見ながら進めるのがとても大変でした。
菅原:私の担当は「長距離ランナーの孤独」。まず、フィルムが日本国内のどこにあるかインターネットを使い、映画学科の講師の方に尋ねて情報を探りました。結果、関西の方にあることが分かり、フィルムをお借りすることはできそうだったのですが、上映の権利が切れていた。権利のありかを調べたら、イギリスの映画会社が持っていることが分かり、英語で交渉することになり、それが大変でした。金額交渉も行い、最初からすると随分安くしてもらえたと思います。
古賀:権利元に連絡したら、無料で上映していいですよと言っていただいた作品もありました。
佐々木:黒澤明監督の「姿三四郎」も上演案に出てたんですけど、黒澤作品は特集上映でないと、許諾してくれないらしんです。それを知って、若い人たちを映画館から遠ざける理由がそこにあるのかもしれないって思いました(笑)。
大浜:私は、初めランス・アームストロングというドーピング問題を起こした自転車選手のドキュメンタリー映画の調達を進めていたんですが、それができなくなり、同じアームストロングを題材にした「疑惑のチャンピオン」に変わりました。変わったことで、スケジュールがタイトだったのは苦労したことですね。
佐々木:上映用の素材がなくて。劇場公開されていない作品だったけど、素材はあるかなと思って、交渉したんですけど、なかったんです。
古賀:今はデジタル化してきているけど、上映用のプリントがあるのか、上映の権利はどこにあるのか、そこが大変ですよね。「花形選手」は、松竹には16ミリがあるけど、状態が良くないから貸し出せないと言われて。国立映画アーカイブは36ミリがあったけれど、チェックをしてみたらけっこう痛んでいた。一回だけの上映なら貸しますと言われて、どうしよう?となったよね。
――そういった映画上映の裏側を学べるのは、貴重なことですよね。
菅原:映画を上映することが、こんなに大変なんだということは学びました。
大浜:それを学生のうちに体験できるのは、このゼミならではかなと。なかなか体験できないことですよね。
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