勘太郎、長三郎にとって挑戦だった八月納涼歌舞伎「伽羅先代萩」は七之助にとっても大きな挑戦だった。女方の横綱ともいわれる大役・政岡を初役で務めた。
今回、七之助はカットされることも多い「飯炊き」というシーンにも挑戦。人間国宝である坂東玉三郎の指導を受ける姿は真剣そのものだった。この「飯炊き」の場面は、稽古場での映像でもたっぷりと堪能できる。
また、稽古する七之助を見る玉三郎の傍らで台本にメモをとるのは、2018年に長らく玉三郎しか演じてこなかった女方の大役「阿古屋」に挑んだ児太郎。まさに、女方の芸が継承されていく瞬間が切り取られていた。
「伽羅先代萩」のみならず、客席をも巻き込んだ演出で盛り上がった「東海道四谷怪談」(9月南座)、現在公演中の「新作歌舞伎 風の谷のナウシカ」(12月25日まで新橋演舞場)の様子も紹介される。
大河ドラマの撮影が終了し歌舞伎に本格的に復帰した勘九郎が挑んだのが、父・勘三郎の悲願だった九州での平成中村座開催。江戸の芝居小屋を再現した平成中村座は、芝居小屋だからこそできる観客との距離の近さや大仕掛けで多くの人を楽しませてきた。
今回、福岡・小倉での中村座でも、舞台の後方が開き、客席から本物の小倉城を望む演出が取り入れられた。しかし、この演出に思わぬハプニングが発生してしまう。
そのハプニングに対し、「半端なものをお客様に見せることはできない」と声を荒げずに代案を提示する勘九郎。しかし、勘九郎の思い、そして何より観客のために急ピッチで作業をし、要望に応えようとするスタッフたち。観客のために妥協せず、がむしゃらに舞台を作ろうとする勘九郎やスタッフたちの姿に心を打たれた。
ほかにも、SNS上で「ジャニーズのコンサートで使われるムービングステージのような演出」と話題になった梯子を使った演出や水車と共に回転する勘九郎の稽古風景、大いに盛り上がった公演の様子が紹介される。
さらには打ち上げの様子や千秋楽の出待ちの様子も公開。出待ちに混ざる片岡亀蔵のキュートな姿もお見逃しなく。
また、病気で休養していた小三郎の舞台復帰やいてうが手掛けたというダイナミックな立ち回りなど、中村屋を支える弟子たちの活躍も放送される。
「密着!中村屋ファミリー 涙と笑いの猛稽古2019〜勘九郎&七之助大いなる挑戦 勘太郎8歳 覚悟のひとり立ち&長三郎6歳 初の女方〜」は12月20日(金)夜9時からフジテレビ系で放送される。
文=よしも
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