東京オリンピック2020が来る前に観たい大傑作映画「東京オリンピック」(1965)<ザテレビジョンシネマ部>

2019/12/27 08:00 配信

映画

「東京オリンピック」(C)公益財団法人 日本オリンピック委員会


さてまずは簡単なクイズを。東京で史上2度目の挙行となるオリンピック、「東京2020オリンピック競技大会」の公式映画監督に就任したのは誰か、ご存じか?

答えは…河瀨直美。カンヌ国際映画祭などで数々の受賞歴を持つ先鋭的なクリエイターである。では、アジアで初の開催となった1964年の東京オリンピックの公式映画監督は?

これも有名だろう。当時、大映に所属し、既に世界的な巨匠と目されていた市川崑。盟友であった黒澤明が予算面で折り合いがつかず、降板したあとを引き継いで“総監督”の陣頭指揮を執り、巨大プロジェクトを成功させた伝説の男。

その長編記録映画「東京オリンピック(1965)」(1月1日[水・祝]午後0:05 WOWOWプライムほか)は、それまでのドキュメンタリーの範疇には収まらない画期的な作品だった。

冒頭、「オリンピックは人類の持っている夢のあらわれである」という字幕が出ると次のカットでは、画面いっぱいにシンボリックな太陽の姿が。そして、円状の残像は鉄球へと移り変わり、ナレーションが歴代オリンピックの地を挙げていくなか、鉄球が新たなスタジアム建築のためにビルを破壊していく映像へ。この数ショットで詩情と批評性が綯い交ぜに立ち上がってくる。