<吉沢亮>ここがピークではない! 「勝負の年」の、その先<ザテレビジョンシネマ部>

2020/01/21 07:00 配信

映画

『キングダム(2019)』(C)原泰久/集英社 (C)2019「キングダム」製作委員会


今や文句なしに“イケメン”の代名詞のような存在となった吉沢亮。彼の“顔だけじゃない”活躍が、この数年、特に輝きを増している。

吉沢の俳優デビューは2011年。途切れることなくさまざまなドラマや映画に出演し続けてきた彼の役者人生は、よどみないように見えて、実は決して順風満帆といったものではない。

「仮面ライダーフォーゼ」(2011~2012)のメテオ役で本格的なスタートを切った吉沢は、当初からそのイケメンぶりと演技力が注目されていたものの、以降なかなかその実力を発揮できる機会に恵まれなかった。その転機は2013年の主演ドラマ&舞台「ぶっせん」。

『レオン(2017)』(C)清智英・大倉かおり/講談社・2018映画「レオン」製作委員会


座長としてのふがいなさに打ちのめされ、「役者という仕事を省みるきっかけになった作品」と本人も公言している一作だが、以降、ひょうひょうとした雰囲気をまとったその奥に、確かにともった火を大切にくすぶらせながら、役者としての存在感をじわりじわりと強めてきた。

そして2017年。実写映画『銀魂』で原作ファンをも歓喜させるほどの再現度を伴って人気キャラクター、沖田総悟を完璧に演じ切り、改めてそのビジュアルや演技が話題になると、次回作が注目される中で出演した『斉木楠雄のΨ難』(2017)では悪の組織と戦う“中二病”の少年をキレッキレかつ自然に演じ、役者としての幅の広さを見せた。

それがどこまで考えられてのことかは不明だが、役者、吉沢亮の“面白さ”に、誰もが気付いた瞬間であったことは確か。そして翌2018年には、映画8本、ドラマ2本に次々と出演。その都度まったく違った役どころで多彩な表情を見せ、観客の心をつかんでいった。

―余談だが、そんな俳優活動の一方で、ひとたびバラエティ番組などに出演すれば、あけすけなコメントで場を沸かせ、芸人との勝負にも全力で挑むなど、まったくカッコつけたり気負ったりしない。(その憂いを含んだ美しい顔面から連想するに)やりそうにない役、やりそうにないこと。そういったイメージをことごとく覆し、“イケメン”というキーワードすらも楽しげに武器に変えてしまうあり方も、彼の魅力になっている。

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