――最終回まで心、薫を演じてきた心境について。
松下:心として患者さんを診ていると、刻々と患者さんを取り巻く状況が変化していることに気が付きます。
実際の医師の皆さんの仕事も、こういうことなのかな?と、実感できる日々がありがたく、“恩田心”を演じることができてうれしく思っています。
その中で、どんな状況でも仕事に対してブレてはいけない心を演じるのは、難しくもありました。命と向き合う作品なので、患者さんに対しての言い方はこれで正しいのか?などを常に考えながら演じてきました。
木村:私は、放送が始まってから買い物に出掛けた時などに「放送見ていますよ。実は、私の親戚もがんを患っていて…」と、話し掛けられたりすることが多くなりました。
がんという病気が皆さんの身近にあり、「アライブ」が忠実に描いていることを実感できます。
台本も初見で読むと、本当に“難しいな”と思うほど専門用語がちりばめられていて、制作者側の本気を感じていました。そういった意味でも、演じ甲斐のある骨太な作品に参加できて良かったです。
――心と薫の関係について。
松下:夫の匠(中村俊介)の死をきっかけに、結果的に心を救うことになった薫。そして、最終回に向けては心が薫を救おうとしています。2人の出会いは作られたものでしたが、信頼関係が育まれたことはうそじゃないな、と。
木村:心も薫も、波瀾万丈な人生を歩んでいると思います。薫は医療過誤の責任を感じてから人生が変わりましたし。
薫が幸運なのは、いつも心先生が側で支えてくれることです。心と薫は、前世では夫婦だったんじゃないかな?
松下:私もそう思います! いつの間にかお互いが必要になっているという関係性は夫婦みたいですよね。どちらかが弱っている時は、必ずどちらかが寄り添っていますから。
――10話までで、お2人の心に残ったシーンをお願いします。
松下:私は2話で薫先生が乳がん患者の莉子ちゃん(小川紗良)に、自分もがんサバイバーだと告げるシーンです。
外科医としての患者さんへのアプローチが、腫瘍内科医の心とは違うのかもしれませんが、あの時の薫先生は格好良かったです。…あのシーンは、このドラマの象徴的なシーンの1つだと思いました。
薫先生の勇気と姿勢に、心を打たれた方も多かったのではないでしょうか。2話は女性の高野(舞)監督の撮影で、女性の感覚がすごく伝わるシーンだと思いました。
木村:外科医の薫より、腫瘍内科医の心先生は患者さんとより精神的な部分で深く関わっていきます。
そして、心先生は患者さんが「どういう治療を望むのか?」「どういう人生を生きようとしているのか?」、病気との向き合い方を一緒に寄り添って考えていきます。
そういう心先生の患者への思いが、物語が進むごとに演じている奈緒ちゃん自身に深くなっていると、客観的に見ていて感じています。
9話は特に思いました。民代さん(高畑淳子)への悲しみを乗り越えて、静さん(山田真歩)に寄り添っていこうとする心の姿勢は、それまでと違った印象が残ります。
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