柄本佑、石橋静河、染谷将太ら出演の『きみの鳥はうたえる』と『レディ・バード』が映し出す青春時代の儚さと愛おしさ<ザテレビジョンシネマ部>

2020/03/20 07:00 配信

映画


『きみの鳥はうたえる』 (C)HAKODATE CINEMA IRIS


やがて花は枯れるし、音楽は鳴り止む。夏は終わるし、人の心は良くも悪くも揺れ動く。変わらないものや終わらないものは、この世界においてはまれ。20代も後半に差し掛かれば、それまで生じることのなかった責任やリスクが付きまとう。

今のままでいたくとも、そういうわけにはいかなくなっていく。変化を拒み意地を張ることもできるが、何かしらのひずみはどうしたって生じるもの。何事にも必ず終わりはやって来る。訪れた変化を前にどう反応・対応・適応・反発するのか。

その一挙手一投足の蓄積が自分という人間を形作っていき、どんな形であれ、いつの日か壁を乗り越えられる時がやって来る。大人になったらなったで、今度は自分という人間を磨く時間が必要になってくる。彼らに訪れる至福の時間と大きな変化が、20代という時間の特異性を感じさせてくれると思います。

10代と20代、子どもと大人、さまざまな変化に直面していく登場人物たちの姿は、観る者の心を突き動かし、自分の過去・現在・未来について思い巡らせる時間を与えてくれる。ぜひセットでご覧ください。

文=ミヤザキタケル



長野県出身。1986年生まれ。映画アドバイザーとして、映画サイトへの寄稿・ラジオ・web番組・イベントなどに多数出演。『GO』『ファイト・クラブ』『男はつらいよ』とウディ・アレン作品がバイブル。